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BOXのHR Enablement事業部が取り組むこと

BOXには、主力サービスである「人材紹介事業部」のほか、「HR Enablement(イネーブルメント)事業部」が存在します。本noteでは、転職を目指す個人の方ではなく、組織や事業の拡大を目指す企業側をサポートするHR Enablement事業部の事業内容に迫ります。

花岡 伸太朗
株式会社BOX HR Enablement事業部
新卒で人材紹介会社にてWeb・IT業界の採用支援、LegalOn Technologiesで採用人事としての経験を経て、株式会社BOXにHR Enablementとしてジョイン。アーリーフェーズのベンチャー企業を中心にHRコンサルティング活動を展開中。

HR Enablementができるまで

——はじめに、花岡さんのこれまでのキャリアを教えてください。

大学卒業後、採用戦略コンサルティング、IT業界特化の転職エージェントサービスなどを行う会社でコンサルタントを担当していました。その後、リーガルテックサービスを行う会社で人事を担当し、現在はBOXのHRE(HR Enablement)事業部責任者を担っています。

——BOXがHREを立ち上げたのはなぜだったのですか。

BOXは2020年にセブンリッチグループの一事業部として立ち上がり、2023年4月にスピンアウト・法人化をした企業です。立ち上げ当初は人材紹介事業、いわゆる転職エージェントを主力サービスとしていました。

BOXの強みのひとつが、クライアント企業との距離感です。一般的に転職エージェントは、企業の人事担当者との打ち合わせを通して要件をヒアリングし、その要件にあった人材をご紹介していきます。BOXも基本的にはそのスタイルを取っていますが、クライアントとコミュニケーションを取るのは、立ち上げ当初から、打合せの場だけ、紹介したい人材についてだけではありませんでした。

候補者さんを招いてイベントを共催したり、毎日のようにslackで連絡を取ったり、食事会を通して交流を図ったり、時には会社を飛び出してスポーツをしたり。そんな風にいろんな形でコミュニケーションを取っていると「そういえばこれに困っているんだけど、BOXさんでできませんか?」とカジュアルにお声掛けいただく機会も増えていきました。

特に、「書類選考や面接を代行してほしい」「採用に関する定義を決め直したいが誰に頼ればいいかわからない」といったお声を聞く機会が多く、それならばBOXでそこまでサポートできる体制を整えよう!となったのが、HRE立ち上げのきっかけでした。

ですが、BOXが提供したかったのはただの採用代行サービスではありませんでした。「うちがやりますよ!」と代行するのは簡単なのですが、それだと企業に採用に関するノウハウが蓄積されず、いつまでも外部を頼ることになってしまいます。

BOXが目指したかったのは、クライアントの「人」側面を強化し、採用から育成まで、組織に関するあらゆることをクライアント自身が自力で推進できる土台をつくること。そのために、ただ「RPO(Recruitment Process Outosourcing:採用代行)」を行うのではなく、「HR Enablement(成果を最大化するためのHRチーム作り)」のサポータとなり得る事業部を作りたいと考え、立ち上げに至りました。

——花岡さんは、立ち上げからHREに関わっているのですか?

いえ、実はそうではありません。ここまで自分が立ち上げたかのように話をしましたが、立ち上げフェーズを担ってくれていたのは、BOXの白木でした。(過去記事:https://note.box-hr.co.jp/n/n042491192463)僕は白木の跡を継ぐような形で、2023年12月にBOXに参画しています。

——そうだったんですね!なぜBOXに参画することに?

BOXでHREが立ち上がったころ、僕自身はリーガルテックサービスを行う企業のインハウスの人事として、まさに自社のHR Enablementに奔走していました。

採用業務は煩雑かつ多くのリソースが必要ですし、成果を最大化させるための採用やチーム作りは容易ではありません。それらを行う中で、BOXのクライアントと同じように「リソースが足りない」「外注したいが誰に頼めばいいのかわからない」という課題にぶつかるようになりました。

また、1日の大半の時間を自社の採用に費やしているために他社の事例や戦略についてキャッチアップする時間も取りにくく、気づけば「自社の採用のことしかわからない」という状況になってしまっていました。

採用は経営に直結する領域かつ個人情報を扱う仕事であるため、一部を切り出して誰かにお願いするのが難しい。そのため、ただ外注をしたり、業務委託のメンバーに参画してもらったりするだけでは本質的な課題を解決することはできません。仮に外注をするとしてもスカウト送付業務までしかお願いできないとなることも多く、課題解決の方法を見いだせずにいました。

企業にとって「人」はもっとも大切なリソースのひとつ。「質の良い人を採用したい」という希望はどの企業にもありますが、その「質」とはなんなのか、面接で何をクリアしていれば質が良いことになるのかなどの定義作りは非常に難しく、かつての僕がそうだったようにその上流の部分で足踏みしてしまう企業も多くあります。

そんな中でたまたまBOXの話を聞く機会があり、他の会社の採用パターン、戦略戦術を徹底的に学び、他社にサービス提供をしていると聞いて純粋にすごいなと。BOXに参画すれば、これまでの人事経験を活かしながらより広くサービス提供ができ、世の中にインパクトを残せるのではないかと思い、参画を決めました。

支援スタイルは企業の課題によってさまざま。HR Enablement事業部の伴走の事例

——HR Enablement事業部では、これまでにどのような企業の支援を行ってきましたか?

HREの立ち上げ初期に、とある大手企業(以下、A社)がBOXにお仕事を依頼してくれました。その会社はこれまで他社へのアウトソースをしてこなかった会社で、ある意味「自社で完結させることにこだわりを持っている会社」でした。

2020年からBOXがその会社の採用支援を行うようになり、多くの転職希望者を送り出してきました。3年かけて積み上げた実績と関係性をもとに、HRE事業を立ち上げた話をしたところ、「BOXにだったらぜひお願いしたい」と言っていただき、パートナーとして面接・面談・書類選考・スカウト送付の代行を行うようになりました。

——A社ではどのような課題を抱えていたのですか?

A社は大手ながら堅調な成長を続ける企業で、一事業部で半年に20~30人の採用を行っていました。当初は事業部内で選考の対応を行っていたのですが、採用にリソースを取られてしまい、その事業部の本来の目標である数値が達成できない状況に陥ってしまっていました。そこで私たちがパートナーとして参画し、面接の移管率をKPIにしながら一緒に事業を進めていきました。

——移管率とは?

もともとA社が行っていた書類選考や面接などをBOXが担当することを「移管」と呼び、その率を「移管率」と呼んでいます。半年の取り組み後、60~70%程度の移管率を実現でき、現場のメンバーのリソースを本来の業務である営業に充てることができるようになりました。BOXがご支援することで、事業部全体のリソースの最適化が行えた事例です。

——なぜ短期間でそのような成果を残せたのでしょうか。

やはり、HREとしてご支援するより前から、エージェントとしてご支援してきたからだと思っています。正直「面接を代行する」だけの業務であれば、どこの会社でも、どの担当者でも実現可能です。

ですがBOXはエージェントとしてA社と長いお付き合いがあり、時には面接にも同席させていただいていました。候補者さんに紹介するために解像度高くA社のことを理解できていたからこそ、“外注として”ではなく“A社の人事担当者のように”面談や面接をでき、スムーズな業務移管につながったのではないでしょうか。

——移管率を高めるために、意識して行っていたことはありますか?

徹底していたのは、A社の情報を隅々まで確認しキャッチアップすることです。A社が取り上げられた番組や記事はもちろん、A社のプレスリリース、オウンドメディア、チャットツール内の営業メンバーのコミュニケーションまでをも拾いに行き「A社について知らないことはない」といえるレベルまで情報の精度を高めていました。

そのおかげで、移管率を高められただけでなく精度の高い採用を実現でき「現場の欲しい人材とずれのない採用をしてくれています」とおほめの言葉もいただいています。

——そのほかにはどのような事例がありますか?

D2C事業を行っているB社は、事業拡大のために採用に力をいれようとしていました。ですがこれまで専任の採用担当者はおらず、各事業の責任者がそれぞれに「こんな人を採用したい」というペルソナを持ち採用を行っていました。結果的に全社としての一貫性・面接の再現性を作れず、思うように採用も進んでいませんでした。

「会社として要件を決めたほうが良いのでは」と考えたB社でしたが、これまで採用要件を定義したことがなかったため専門家にサポートしてほしいと、BOXに連絡をくださいました。

——B社に対してはどのような支援を行ってきたのですか?

課題となっていたのは、「要件定義がされていないこと」「誰が何を見極めるのか決まっていないこと」でした。そこで、採用の土台作りとして1ヶ月半の期限を設け、採用したい人材の要件定義、選考の設計、クロージングのスクリプト、担当者のアサインまで、詳細に決めていきました。

わずか1ヶ月半で、外部の人間が選考設計を完了させるのは簡単なことではありません。しかし、九州に本社を置くB社まで足を運び、代表はもとより、各事業責任者と顔を合わせてヒアリングを重ねることでニーズにお応えすることができました。

今回お話したA社とB社は、サポートの内容もご一緒させていただく期間も大きく異なります。HREでは各社に最適な形での支援をおこなっています。

BOXのHR Enablement事業部を頼るメリット

——インタビューの前半で花岡さんは、企業が採用の領域で外部のパートナーを頼ることの難しさを語ってくれました。デメリットやリスクもある中で、BOXのHR Enablement事業部を頼ることの良さはあるのでしょうか?

HR Enablement事業を頼ってくださることは特急券を使うようなものだと思っています。採用のための土台作りも、多くの書類選考や面接を行うことも、自社内で完結させることはできるでしょう。しかし、エージェント業を主力事業とし、多くの企業の戦略・戦術を学んできたBOXがご支援することで、自社だけでは出せないスピードで採用を促進できるという自負があります。

さらにHR Enablement事業部には、インハウス人事出身者、採用コンサルティング企業出身者、人材エージェント出身者、採用広報特化の制作会社出身者など、専門性を持った多くのメンバーが在籍しています。そのため、各企業の課題に合わせてチームを編成し、現状その企業の弱みとなっている部分を強化し、自走できるところまでご支援ができます。

そして、HR Enablement事業部でご支援させていただく場合、スピード感が増すだけではなく、二手三手先を読んだ盤石な戦略を考えることができると思っています。

自社だけで採用組織を作り採用活動を行っていく場合、業務の煩雑さや候補者対応の忙しさゆえに、目の前のことを“さばく”ような対応になってしまうことも得てしてあります。一方HR Enablementがいれば「この段階で次のこの体制構築をしておいたほうがよさそう」「もうひとつフェーズが進んだら、このパターンの面接も出てくるはずなので、これを用意しておいたほうが良いです」のように、未来を見据えた事前準備をお手伝いできます。

今の採用活動にはそれほど困っていないないけれど、将来に向けた準備を手伝ってほしいといったニーズにもお応えできると思っています。

——最後に、今後のHR Enabelmen事業部の展望を教えてください。

「クライアントの事業計画の達成に寄与する」そんな貢献をしていきたいと考えています。というのも、採用活動はあくまで「事業計画達成のためのひとつの手法」だと考えています。ただ採用活動を支援するだけではなく、どんな事業計画を達成したいのか?そのためにマッチする解決策は採用活動なのか?現在頑張ってくださっている従業員の方々の生産性やエンゲージメントを高めることや、人事企画の整備、広報活動によるブランディングや認知度向上などの方が適切なのではないか?など、各領域のプロフェッショナルメンバーがいるBOXのHREだからこそ提供できる価値貢献をもっと追求していきたいです。

事業計画達成のために採用を加速させたいが、社内のリソースが足りない。採用人事の組織を作りたいが、なにから手を付けていいかわからない。採用広報に取り組み始めたい。そんな人事担当者・経営者の皆様は、ぜひ一度お気軽にBOX HR Enablement事業部にお声掛けください。お力になれることがあるかもしません。