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人的資本経営への注力を。BOXが今コーチング研修を全社に導入する理由

2020年、経済産業省により発表された「人材版伊藤レポート」において、人的資本経営の重要性が強調されました。これまで「人材=資源」と考えられていたものを、「人材=資本」として考え、資本としての人材に投資を行うことで、自社の企業価値が向上され、企業に利益が還元されるという考え方です。

人材を資本として捉え、個々の個性や才能を十分に育成・活用する――その一貫としてBOXが取り組んでいることのひとつに「コーチング研修」があります。

今回のnoteでは、BOX代表取締役の角田光史と、コーチング研修を提供してくれている株式会社THE COACH代表・Founderのこばかなさんに、「人的資本とコーチング」をテーマに対談いただきました。


コーチング研修導入のきっかけ

こばかな:初めにBOXがTHE COACHのコーチング研修の導入に踏み切ってくださったきっかけを教えてください。

角田:BOXは2023年4月にSEVENRICH Accounting(以下、セブンリッチ)から分社化した会社です。「人材紹介事業部」としてセブンリッチに所属していたときは数名のメンバーで事業部を立ち上げ、2024年1月時点で業務委託を含め70人程度の規模の組織になりました。

組織が小さかったころは、僕を含めボードメンバーが、メンバー一人ひとりの描くキャリアに対して適切な成長機会を用意できていました。ただ、60人の規模になるとすべてのメンバーのWillを僕が把握して、それに応じた適切な打席を与えるのは難しく、メンバーが主体的に自己を引き上げられる仕組みが必要だと考えるようになりました。

また、僕自身が複数のコーチングスクールに通い、自己解釈力が増したと感じたこともきっかけの一つです。

こばかな:自己解釈力と言うと?

角田:仕事をしていると、ハードシングスに遭遇したり、ネガティブなことが起きたりしますよね。そういうときに、「これを跳ね返す結果を出せばいいだけじゃん」「全然いける、まだいける」って思えるようになったんですよね。

誰しも必死に仕事をしていればつらいことや失敗はあるし、思うように成長できないフェーズもあると思います。そんなとき、組織や周囲の人のせいにするのではなく、自分自身の解釈の仕方を変えて「これをどう生かすか」「目の前にこんな機会が転がってきたなんて」と思えるか。それ次第で成長角度は大きくなるし、捉え方を意識的に変えられれば生きやすさにもつながっていくだろうと考えました。

逆も然りで、いい流れを作ることができ成果が上がったとして、「こんなものは通過点」「自惚れず謙虚に高い目標を設計しなおそう」という現状維持で満足しない姿勢につなげることも可能です。

こばかな:実際にコーチングの中でも、「事実と解釈を分けて考えてみては」という内容を伝えることは多いですね。何かが起きたときに、それをどう解釈するのかは人それぞれ。失敗をネガティブに捉えるのか、ポジティブに捉えてエネルギーに変えるのか。組織全体の成長を考えたときにも、ポジティブに捉える文化を組織として作るのは重要なことですよね。

角田:そうなんですよね。メンバーと向き合う中で「失敗=悪」と捉え、小さな失敗に過剰に思い悩む人がいることも気になっていました。もちろん反省をするのは大事だけれど、そこに視点が向きすぎたら本人としても苦しいし、理想の成長スピードを実現できない。コーチングを導入することで自己解釈力を高めて、本人たちにとってより意味・意義のある環境を作れたらいいなと思ったんですよね。

企業向けコーチングの魅力

こばかな:検討を始めていただいた当初、BOXでは企業としてコーチング研修を導入する方法と、個々にスクールに通ってもらい受講費用を福利厚生としてサポートする方法どちらにするか検討されていましたよね。

角田:そうですね。外部の人がいる環境の方が良いのではないか、とも思ったのですが、企業向けコーチングではコーチングの実践を通して他のメンバーとのコミュニケーションが深まる側面があると聞き、それがいいなと。

BOXはこの1年で急激にメンバーが増えたので、以前よりも相互理解が深まっていないという課題も感じていました。コーチング研修を通してそれが解消できるのなら、より価値があると思ったんですよね。

こばかな:前提として、自己理解が深まると相互理解も進むと考えられています。コーチング研修の場合は、コーチングの実践をメンバー同士でしていくので、より相互理解が進みやすいんですよね。

相互理解が進むとコミュニケーションが円滑になるイメージがあると思いますが、メリットはそれだけではなく、組織全体の成果にもつながりやすくなります。MIT組織学習センター共同創始者のダニエル・キム氏によって提唱された「成功の循環モデル」でも、関係の質が良くなると思考の質、行動の質が高まり、結果の質が高まると言われています。

角田:一口に「コーチング」と言っても、提供する会社によってアプローチが全く異なりますよね。僕たちはいわゆる“営業組織”なので、マインドセットを変容させ、ゴールに向かってどのように目標をクリアしていくかという行動コーチングに近いものを導入するかというのも検討しました。

ただ、自分がそういうアプローチのコーチングも受けてみた結果、僕が皆の中に育てたいのは、最短距離で結果を出す力ではないと思ったんですよね。いろんな弱さやしがらみを受容し、自らのエネルギーを生み出し続ける力をつけてほしい。世間の“べき”に流されていたところから、自分の人生を咀嚼し直して自分なりの道を見つけてほしい。そう考えたときに、自分と向き合い、仲間との関係性も深められるTHE COACHが最適だと感じました。

こばかな:なるほど。

角田:もちろん、THE COACHのコーチング研修によって“自分らしさ”“本当の自分”みたいなものに気づき、「自分が本当に進みたいのはここではない」とBOXを離れてしまう可能性もありました。ただ、自分の進むべき道を見つけてここを出ていくのだったらそれはとても嬉しいことだなとも思ったんですよね。

人的資本は、文字通り人を「リソース」と捉える考え方です。その考えを拡張させてみると、優秀な人を正社員という形式で抱え続けることが必ずしも正しいわけではなく、OB / OGとしてその人の才能や能力を活用してもらえばいいと。BOXを出てより能力を高められる可能性があるんだったら、どんどんそうしてほしいし、外に出て高めた能力をまたいつかBOXに還元してくれれば良いと考えました。

こばかな:コーチングによって組織を離れる決断をする人がいたとしたら、もともと何らかの違和感を抱いていたものがコーチングによって顕在化しただけかもしれないですよね。もしもコーチングでそれが明らかにならなかった場合、組織としては生産性の低いメンバーを抱え続けるリスクにもなる。メンバーの循環を促すという観点でも、コーチングが効果的に働くケースもあるように思います。

コーチング研修がメンバーのキャリアや人生を考えるきっかけになっている一方、エージェントとしてコーチングを学ぶことで、候補者に対して還元できている価値もあるのでは無いかと思います。いかがでしょうか。

角田:そうですね。コーチング研修によって、「候補者のアウトプットをいい意味で信じない力」が培われているのではないかなと。

たとえば、3回目の研修の際に、解釈モード、直視モード、感知モードという3つの意識の状態について学びました。候補者はノンバーバルな部分を含めてメッセージを発しているはずです。口では「コンサルに行きたい」と言っていても、表情が曇っていたり、発言に間があったりする。

意識のモードをコントロールすることでそれらを逃さずに捉えて深掘りし、その人の本質に迫っていく力がないと、本当の意味で候補者と企業がマッチングすることはありません。コーチング研修を受けたからこそ、候補者との対話によって得られる情報量は桁違いになるはずです。他のエージェントと比べたときにも、サービスの質は高くなっていると自負しています。

人的資本経営に注力するBOXの今後

こばかな:今後、人的資本経営の一貫として導入予定の制度などはありますか?

角田:現状、シャッフルランチ、誕生日休暇、表彰制度の3つの制度を導入しています。ある程度の規模の会社では当たり前の取り組みかもしれませんが、まだまだ未熟なBOXでこれらの制度を取り入れることには勇気が必要でした。始まったばかりのこれらの制度をしっかりと運用に載せ、成果につなげることが当面の目標です。

たとえばシャッフルランチでは、ただメンバーをシャッフルして自由にランチを食べてもらうのではなく、すべてのグループに「高校時代の話」「両親に言われて印象的だった言葉」など共通したテーマを設定し、ランチ後に各グループの担当者が話の内容をまとめて、全メンバーの情報が集まるようにしています。誕生日休暇は、ただ休んで羽を伸ばすだけでなく、自分の1年を振り返り、新たな1年に向けての目標を立ててもらう日としています。

こばかな:ただ制度を作るのではなく、運用方針も工夫されているんですね。

角田:そうですね。会社として、規模が大きくなっても「つながれる感覚」を大切にしたいと思っているんですよね。社内のメンバー同士のつながりだけでなく、家族や大切な人ともそうだし、候補者ともそうです。誰かとつながりがある状態って幸福度に影響するし、相手を知って、心と心がつながることが、生きやすさや、ひいては成果につながっていくと思うんですよ。

こばかな:おっしゃる通りですよね。一方的に理解するだけじゃなく、相互に理解して心で握手できている状態があるといいですよね。

角田:人と人としてのつながりができた上で、一人ひとりが「自分の人生」を歩んで行ってほしい。個人の軸を持って、どこでも活躍できる人でいてほしい。そのためには、個人個人がストイックであることが重要だと考えています。

角田:「ストイック」と「コーチング」は一見かけ離れた概念に思えるかもしれません。でも、僕が考える「ストイック」は限界まで自分を追い込むみたいなことではなくて、今の自分にとってストレッチの掛かった目標設定をし、「決めたことをやりきる」「自分との約束を守り続ける」といったごくごく当たり前のこと。

コーチング研修を通して本当にやりたいことを見つけられたら、「自分と約束をする」「それをやりきる」ができる人が増える。そうやって自分の人生を生きられる人が増えたら、納得感を持って目の前のことに全力投球できる。コーチング研修を通して、一人ひとりがその土台を作ってくれたらと思っています。

BOXでは、人的資本経営に力を入れながら、コーチングノウハウを生かした採用支援を行っています。候補者の皆さんが納得感をもってキャリアを選択できるよう、BOXたちは全力で支援します。

転職を検討している方、実現したい理想の将来がある方、キャリアに悩んでいる方は、ぜひ一度お話ししましょう。お手伝いできることがあるかもしれません。

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