【事例紹介】「BOXがいなかったら、採用が止まる」。SmartHRとBOX HREnablement事業部の取り組み
2023年1月に立ち上がったBOXのHREnablement(エイチアールイネーブルメント、以下、HRE)事業部。HREでは、採用や組織に関するコンサルティング、採用戦略の設計、採用・面接代行などを行っています。
HREの立ち上げ初期からご支援しているクライアントのひとつが、株式会社SmartHR(以下、SmartHR)です。売上・社員数ともに右肩上がりのSmartHRが抱えていた課題と、BOXとの取り組みとはいったい何だったのでしょうか。
採用担当の福井さんに伺いました。
BOXは、提案を持ってくるエージェントだった
——2023年にリリースした記事でも触れていただいていましたが、改めて、両社の取り組みの始まりについて教えてください。
福井:初めて私がBOXと接点を持ったのは2021年の秋だったと記憶しています。まだまだ採用チームが小さく、ビジネスサイドの採用はほとんど私と数名で担当していた時期でした。お電話で問い合わせをもらって、当時のBOXメンバー全員で来てくれましたよね。
長山:そうでしたね。僕が初めて電話したとき「どういったご用件ですか?」と福井さんからビジネスライクに聞かれたのが印象に残っていて、ドキドキしながらオフィスに伺ったのを覚えています。
福井:正直そのときの商談の中身は覚えていないのですが、すごくコミットしようとか、よりよくしていこうとか、そういう気概が感じられて、いいなと思ったんですよね。
——どのような点にほかのエージェントとの違いを感じてくれたのでしょうか。
福井:印象的だったのは、明確に提案があったことです。一般的なエージェントの場合「求人の優先度を教えてください」「採用要件を教えてください」と、こちらが情報を伝えるばかりになることが多いんです。一方で長山さんは質問とセットで必ず提案を持ってきてくれた。提案そのものがすごく突飛なアイディアだとか、すごい企画書だとか、そんなことはないんです。でも、日々よりよくしたい、成果を出したいという姿勢がありがたくて。
BOXと打ち合わせをすればよりよくなるための提案があるんじゃないかと思い、頻度高くコミュニケーションをとらせてもらうようになりました。
共催イベントで5名の入社が決定
——前回の記事リリースから約1年を振り返ると、どのような変化がありましたか?
福井:やはり、人材支援事業部だけでなく、HREnablement事業部(以下、HRE)とのお付き合いが始まったのが一番大きな変化ではないでしょうか。2022年までBOXには、純粋な人材支援——つまり転職エージェントとしてお力添えをいただいていました。
時期を同じくして、SmartHRの事業の成長速度は急速に上がり、事業が複雑化していました。より多くのメンバーが必要な局面になったわけですが、SmartHRではカルチャーを重要視する採用をしているため、これまでの採用手法を踏襲すると必要な面接数が膨大になってしまう。
多くの面接に対応するためには現場メンバーの力を借りなければならず、そこに時間を投下すると、事業を推進するためにリソースを割けずに事業成長のスピードが落ちる…そんな本末転倒な事態に陥る可能性がありました。
そこで、採用の在り方の見直しに踏み切りました。BOXには、どのように面接フローを見直していくのかを一緒に考えてもらい、ときには施策の実行部分までサポートしていただきました。
そのおかげもあり、結果的に当初の課題は少しずつ解消され、事業成長のスピードを保ちながら、計画どおりにメンバーを増やすことができています。
花岡:転職エージェントとしてだけでなく、HREとして新たなことにチャレンジさせていただけたからこそ、SmartHRさんから厳しいフィードバックをいただく場面も増えたように思います。ただ、これを前向きにとらえると、僕らに期待を寄せてくださっているということだなとも思っていて。
HREとしてご支援をするということは、「エージェント」という領域を離れて、HRを包括的に支援する組織になっていくということです。福井さんと同じHRのプロとして肩を並べようと思ったら、福井さんの細やかさに敵わない部分も多くて。チャレンジの数だけ反省のあった1年でした。
福井:でも、僕らが意見できたのって、「ほとんどすべてお任せ」みたいに渡したものをBOXがなんとか形にして持ってきてくれて、それを一緒に叩いてブラッシュアップしていったからなのではないかなと思います。厳しいフィードバックはBOXが果敢にチャレンジしてくれたからこそだなと。
——さまざまな取り組みをしてきた中で、これは成功だったと言える事例はありますか?
長山:代表的な事例は共催イベントです。BOXを利用してくださっている候補者さん(転職希望者)のうち、SmartHRに興味・関心を持っている方をお招きして、オフィス紹介と現場メンバーとのお話を楽しんでもらうことを目的としています。4回実施していて、のべ約80名にご参加いただきました。うち5名がSmartHRへの入社を決められています。
——本イベント開催のきっかけはなんだったのでしょうか。
長山:僕らがエージェントとして初めてオフィスに伺ったとき、オフィスの格好良さにすごく感動したんですよね。広々としたフリースペースがあって、ガラス張りの会議室では社員の皆さんが生き生きとディスカッションしている。これを候補者に見てもらったら、それだけでSmartHRのことを好きになるんじゃないかなって。
また、多くの企業さんが「選考体験」には頭を使うのですが、どういう心理状態で選考を受けてもらうのか、いわば「選考“前”体験」には目を向けられていません。当然ですが、志望度がものすごく高い状態で選考に進んでもらうことができれば、入社の確率も高くなる。そこで、選考を受ける前から気軽にオフィスに遊びに来てもらう機会を作りたいと考えました。
福井:毎回参加者の満足度は高く、2回目以降は入社にもつながるようになって、「成果が出てきたな」という感覚を得られています。
このイベントはBOXが提案から実行までガンガンやってくれているので、外部のパートナーというよりも、内部のチームのような感覚で一緒に運営に取り組めています。
長山:ほかにも、BOX限定公開の会社説明動画を一緒に作ったり、経理・労務向けSaaSを展開する大手企業と限定イベントを開催したり、いろんなことをやらせてもらいました。すべてがすぐに成果につながったわけではありませんが、本当に多くのことに一緒にチャレンジできた1年でした。
BOXはSmartHRを解像度高く理解し、候補者を正しく導いてくれる
——2022年の取り組み開始から約2年半。このフェーズだからこそ見えてきたBOXの良さはありますか?
福井:先ほどもお伝えしたように、外部のパートナーというよりも、SmartHRのメンバーのように動いてくれる点が、BOXの一番の良さだと思っています。2023年から始まったHREとの取り組みでは、当初はIS(インサイドセールス)の採用コンサルティングの領域に絞ってお仕事を依頼していました。
SmartHRはTHE MODEL型の組織編制をしてきたので、採用もISとFS(フィールドセールス)で分業になっていて、お互いがどんな人を採用しているのか詳細まで知らないというケースもありました。そこにBOXが入ってくれ、間をつないでくれたことで、ISとFSの相互理解が深まり、上流から採用戦略を考えられるようになった側面もあったように思います。
長山:業務の中で具体的に選考のご相談を受けることもあるのですが、「この人はIS希望だけれどFSのほうが合いそう」とか、職種を限定せずに、総合的に候補者さんの適性を見出し可能性を作る、という事例も少しずつ増えていますよね。
福井:本来は自分たちでやらなければいけない部分だと思うのですが、すべて自力でやろうとした結果事業の成長のスピードに影響が出ることは避けたい。だからこそ、HR領域を包括的に見られるBOXをパートナーとして選べて本当に良かったと思います。
それまでは半期で15~20人のISを採用するので精一杯でしたが、今は半期で30人以上を採用できるようになりました。従来のやり方を続けていたらお会いすることができなかったような人たちにお会いでき、採用にもつながっている。BOXのおかげです。
花岡:そう言っていただけると本当にうれしいですね。僕らとしても、2023年にHREが立ち上がってすぐの段階からお取り組みをさせていただけたことが、自社の事業成長につながっていると感じています。多くの方をSmartHRにおつなぎでき、「セールス職種決定数No.1エージェント」(半期の中で最も多くの入社者を輩出したエージェント)として貢献できたことをうれしく思っています。
福井:HREとして新たな取り組みが始まったり、SmartHRに関わるBOXのメンバーが増えたりすることでサービス品質が下がるのではと懸念していた時期もありました。でも、メンバーが増えても、初期から関わってくれている思いの強いメンバーを中心に熱量を伝播させてくれ、再現性のある状態を作ってくれている。本当にありがたいです。
——この1年で、お互いに対する気持ちや印象に変化はありましたか?
長山:SmartHRの採用に貢献したいという気持ちはより大きくなっていますね。実はSmartHRとの取り組みが始まった当初、僕らとしても、どうやって貢献していいかわからない時期があったんです。いい会社なのは間違いない。でも魅力をどう言語化して候補者さんに伝えればいいのか。面接で何を見られていて、どういう人なら採用に至るのか——。理解しきれていなかったから、応援したくてもできない期間が続いていました。
でもこの2年で何度も足を運ばせてもらって、SmartHRの本当の魅力を身をもって知り、僕ら自身がSmartHRの大ファンになれた。その結果、候補者さんにもSmartHRさんのことを熱量を持って伝えられるようになって、当時年間3人だった決定が15人にまで増えました。
もっともっとSmartHRさんの力になりたいし、僕ら自身もよりSmartHRさんのことを好きになりたい。今はそんなふうに思っています。
福井:当初からBOXに対する印象はあまり変わりませんが、強いていうならば「採用を通過点として見てくれる会社なんだな」と思うようになったかもしれません。
BOXに限らず転職エージェントは、ビジネスモデル上採用決定数を追うことが目的になりがちです。ですがHREとしても関わるようになってくれた今、BOXは採用を「通過点」として見てくれている。事業としての「こういうことを達成したい」を高く理解したうえでの提案をくれるようになりました。
SmartHRは「働きやすい会社」というイメージが先行しがちで、エージェントとして決定数だけを追うとしたら、候補者にそこを訴求したくなるかもしれません。でも実態は、売上が加速度的に増えていく中でハードな局面もある、「働きがいのある会社」なんですよね。
BOXはそれをきちんと理解し、候補者を正しく導いてくれる。だからこそ、BOX経由で入社した人は早期に活躍できるのだと思います。
これからも一緒に、果敢なチャレンジを
——今後の展望を教えてください。
福井:SmartHR全体として採用スピードはさらに加速していく予定です。2026年入社から新卒採用も本格化していきます。一見「量」が重要になるように思えるかもしれませんが、同時に「質」も向上させていかなければなりません。
ここ数年で加速度的に事業やプロダクトが増え、複雑化したため、社内の仕事のレベル感も飛躍的に上がっています。それをこなせる人材の採用には、面接の構造化や、活躍人材から逆算した要件定義など、徹底的に質にこだわった採用活動を行なう必要があると考えています。このあたりの設計もすでにBOXとは一部一緒に取り組んでいるところがあり、今後もより精度を高め継続していきたいですね。
——今後BOXがSmartHR様に対して心がけていきたいことや、福井さんがBOXに対して期待することなどはありますか。
花岡:SmartHRの変化のスピードにもっとくらいついていくことです。SmartHRは業界をけん引するスケールアップ企業なので、会話の頻度を落とさず、スピード感についていくことが何よりも重要だと考えています。候補者さんには常に最新の情報をお渡ししたいですね。また、あるべき姿から逆算し、柔軟な発想を持って提案を行っていきたいです。
福井:今後は、これまで以上に一緒に「チャレンジ」をしていきたいです。正直、今BOXがいなくなったら、我々の採用は止まってしまいます。現状の取り組みを回しながら、新しいチャレンジも一緒にしてもらえるとありがたいです。
エージェントって、「自分たちに代わって良い人を見つけてくれる代行業者」というイメージを持たれることもきっと多いじゃないですか。でも僕らにとって、BOXは単なる代行業者じゃなく、パートナー。その分期待値も上がりますし、フィードバックが厳しくなることもあると思いますが、一緒によりよくしていくためのパートナーだからこそです。
今後も一緒に果敢なチャレンジをしていきたいですし、BOXからは逆に社員と同じ目線で、僕らができていないこともフィードバックしてもらえるとうれしいです。これからもよろしくお願いします。
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事業計画達成のために採用を加速させたいが、社内のリソースが足りない。採用人事の組織を作りたいが、なにから手を付けていいかわからない。採用広報に取り組み始めたい。そんな人事担当者・経営者の皆様は、ぜひ一度お気軽にBOX HR Enablement事業部にお声掛けください。お力になれることがあるかもしません。