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会計士の「独立開業」をテーマにセミナーを行いました!【RocketCPAセミナーレポート】

こんにちは、SEVENRICH GROUP転職エージェント(SRG転職エージェント)です。私たちはスタートアップ企業に特化した転職エージェントとして、転職希望者・企業どちらにもフェアな、マッチング精度の高い転職支援を行っています。

実はSRG転職エージェントは、スタートアップへの転職支援のほか、会計士の転職支援も得意としています。これは、SEVENRICH GROUPの母体が会計事務所「SEVENRICH Accounting」であるため。会計事務所を自社で運営するなかで得た知見やノウハウを活用し、会計士側・企業側それぞれの希望を最大限叶える転職支援/採用支援を行います。

また、会計士のキャリアを長期的に支援するために、会計士が集まるコミュニティ『RocketCPA』を運営。RocketCPAでは、知識知見の共有から市場未公開の求人紹介、スキルを身につけるための学習コンテンツやセミナー、交流イベントなど会計士のキャリアに役立つ多様な内容を実施しています。

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今回は、2022年夏にRocketCPAが開催した「会計士の独立開業」にまつわるセミナーレポートをご紹介。監査法人での経験を経て独立された2名、Hay未来の税理士法人林さん、CaN International 国際会計事務所の大久保さんに、開業の背景から顧客の獲得方法、独立前にすべき準備についてリアルな知見をお話いただきました。

登壇者:大久保 昭平(CaN International 国際会計事務所)
立命館大学卒業、早稲田大学大学院修士課程修了後、新日本監査法人にて監査業務に従事。その後、シンガポールの国際会計事務所を経て、CaN International Groupを創業。明治大学大学院グローバル・ビジネス研究科客員教授も務める。海外進出コンサルティング、クロスボーダーM&Aサポート、親会社マネジメントサポート、国際税務コンサルティング、国内税務・アウトソーシング 、海外拠点現地サポートなど、クロスボーダーに係る会計・税務コンサルティング業務を展開。シンガポール、香港、タイ、ベトナムに自社の海外オフィスを有する。
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登壇者:林 寛之(Hay未来の税理士法人代表)
中央大学商学部卒業後、あずさ監査法人にて監査業務に従事。その後3年間会計士が代表を務める中堅税理士法人にて税務業務を学び、2013年1月に個人税理士事務所を開業。2016年8月、経理回りのアウトソーシング受託会社として未来の株式会社を設立すると共に2017年4月、個人事務所をHay未来の税理士法人として法人成りし、現在に至る。
Hay未来の税理士法人公式サイトはこちら

司会:角田 光史(SEVENRICH GROUP)
スタートアップ企業のPM経験を経て、2020年スタートアップ特化の採用支援事業部/SRG転職エージェントの立ち上げを行う。 RocketCPA運営責任者。


「独立は考えていなかった」第一線で活躍する会計士の独立背景

角田:まず、お二人が独立しようと思った背景を教えてください。独立志向は新卒時から持っていましたか?

大久保:最初は独立しようとはまったく思っていませんでした。大学を卒業してから特に明確なやりたいこともなかったため、経営学部であったこともあり会計士を目指して、合格後は監査法人に就職し30歳まで勤めました。

監査法人勤務時代に転職を考えることもあったのですが、監査法人でマネージャーまで務めたこともあり、そこからコンサルティング会社や事業会社に行くのってどうなんだろと思ったんです。当時の業務は管理業務がメインだったので、転職してまた一から自分が手を動かす立場になったり、同世代のマネージャーや年上であっても部長とかの下で働いたりっていうのが嫌だったんですよね(笑)

それで何も考えずに仕事をやめて海外に行きました。10ヶ月くらいオーストラリアなど外国を転々としたのちに、「そろそろ働かないとまずいな」と思ってシンガポールにある国際会計事務所グループの監査法人に入社しました。

そこでは監査業務に加えて、海外進出コンサルティングやクロスボーダーM&Aを経験しました。業務の進め方は基本的にクライアントと業務スコープを合意して、海外の専門家をアサインするなどして、サービスを提供するためのチーム組成をしてプロマネをしていくことがメインだったので、日本での監査法人時代での経験が非常に役立ちました。丸2年務めたのち、日本に帰国し海外事業特化型の国際会計事務所を創業しました。

▲大久保さんが代表を務めるCaN International 国際会計事務所。海外進出コンサルティング、クロスボーダーに関わる会計・税務コンサルティング業務を展開している(公式HP

角田:林さんはいかがでしたか?

林:僕は昔から独立したいと思っていましたね。高校のときから、いつか起業したいと兄と話していたんです。ただ、当時はお互いに強みや取り柄を持っていなかったので、ひとまずは大学に行き就職してから考えようと。

大学では、僕は会計士を目指して勉強し資格を取得。新卒で監査法人に就職し、その後税理士法人に転職しました。

独立のきっかけとなったのは、やはり兄でした。兄は、紙書類をデータ化するデータエントリーの企業に勤めていたのですが、ちょうどそのころ会計事務所でもデータエントリー事業に取り組み始めるところが多くありました。ただ、ノウハウを持っている会計事務所は少なく、上手くいってるところはあまりなかったんですよね。

そこで、会計士の私とデータエントリーのノウハウを持つ兄が手を組めば、勝機があるのではと思いました。事業内容を検討して実際に少しやってみると「これはいけるな」という感触もあり、独立。僕は会計事務所を立ち上げ、兄は兄で会社を作って、協業してデータエントリーのサービスを作っていこうとしたのが開業の背景でしたね。

▲林さんが代表を務めるHay未来の税理士法人。税務顧問サービスや会計コンサルティング、バックオフィス業務のアウトソーシング事業を提供している(公式HP

独立を決断できたのは、独身だったから

角田:独立・開業にはリスクもあり、挑戦することに怖さを覚える人も多いと思います。お二人はどのように決断されましたか?

大久保:正直、怖さはなかったですね。もともと無職の状態で海外を転々とする生活をしていましたし、まだそれなりに若くて独身だったので生活水準を下げることができたのも大きかったかもしれません。なんせ最初は事務所に後輩と住み込みでしたからね(笑)。

監査法人をやめてから、少しの期間ではありますがシンガポールにて独立系の国際会計事務所で色々な経験をさせていただいていたことも、独立後の姿をイメージできていたという点では大きかったと思います。逆に監査法人を退職してすぐに独立している方などはすごいなと思います。

林:僕は独立したいとは思っていましたが、「絶対に独立する!」までの気持ちではなくて、当然不安もありました。それでもリスクのあるなかで独立したのは、自責で生きるためですね。組織にいると、人のせいにしてしまいがちな傾向があったので、あとは自分でやるしかないんだろうと。

あと、大久保さんも仰っていたように、自分も当時結婚していなくて、固定費がなかったのも独立しやすかった理由のひとつですね。業務的にも、僕たちがやっている税務や会計は原則的に固定費がないんです。くわえて税務・会計顧問は、よほどのことがない限りは永続的に契約が続くストック型のサービスなので、ある程度安定はするだろうという安心感がありました。

「最初の2〜3年が勝負だから」独立してすぐ採用すべき?

角田:独立する際、採用は行われましたか?

林:いえ、僕は採用に関してかなり慎重で、正社員を雇ったのは独立から2年くらい経ってからでしたね。人の採用はリスクが大きく、固定費がかからないという業種の強みに関わる点だったので、まずは一人でクライアントを増やして毎月ある程度の顧問料が得られるようになってから採用しました。

大久保:私は最初の2〜3年が重要だと考えたため、独立直後から正社員を2名採用し、一緒に会社を立ち上げました。そのため、最初からオフィスも借りました。

独立当初設定した海外事業というドメインは、帰国後ということで最初はちやほやされても、経験やブランドは2,3年もすればすぐに陳腐化すると考えたからです。経験やブランドの陳腐化スピードを超える勢いで更にブランドを作っていくためには、急成長しているというところを外部に見せるマーケティングと実際に成長しているということが必須であったため、最初は色々なことにトライしました。

独立直後に顧客を獲得する方法

角田:お二人は独立後、どのように顧客を獲得していきましたか?

大久保:独立直後は会計事務所・他仕業向けの営業を集中的に行いました。独立直後の仕事は、ほとんどがそうした中堅・中小の士業系事務所からの受託業務でしたね。

弊社の業務領域は海外進出など海外が絡む業務だったので、ほかの会計事務所と事業内容がバッティングしなかったんですよね。それで、海外絡みの案件を外注してもらえるようになりました。独立後1〜2年はそのような外注がほとんどで、2〜3年目くらいから、自社でも案件が取れ始めたという感じでした。

林:僕も最初は前職の税理士法人からの外注でしたね。外注してもらえるよう、在籍時に意図的に動いていたんです。もともと前職では行っていなかったIPO支援のコンサル事業などを提案して自分が担当していたので、独立してからもその業務を外注いただけました。

その後は、前職で担当していたクライアントの経理担当者が転職して、転職先を紹介してくれるケースや経理担当者同士のつながりから紹介されるケースが大きな集客手段となっています。真面目に業務にあたっていれば紹介が自動的にくる業界だと思うのですが、スタート時は苦労するので、前職とのつながりは重要ですね。

角田:なるほど、お二人とも前職からのつながりで独立直後から仕事を獲得していったんですね。現在は、どのように集客されることが多いですか?

大久保:新規案件はいまも紹介がほとんどを占めています。既存クライアントや政府系機関、会計事務所、法律事務所、銀行などに紹介してもらって新規クライアントを獲得しています。

林:私もやはり既存のクライアントからの紹介が圧倒的に多いです。そのなかでも弊社の場合は、主にITのスタートアップ企業に紹介いただいています。これは独立してから知ったのですが、資金調達や株主とのやりとりなど会社法が絡む事柄に取り組める会計士や税理士は市場にあまりいないんです。

もちろん大手の会計事務所ならできますけど、スタートアップ企業が大手に頼むのは価格的にも企業理解度的にも難しい。それで、ベンチャー企業の会計を見れる弊社が重宝されている印象があります。

「一週間近く仕事し続けた」独立後のハードシングス

角田:お話を聞いていると、お二人とも前職のつながりや事前の準備もあって、順調に会社を運営されてきたのかなという印象があります。独立後にあったハードシングス、苦労した点などがあれば教えてください。

林:僕は仕事をとりすぎてパンクしかけた時期がありました。一週間近く事務所から帰れず、ずっと仕事していて。何があった訳でもなく鼻血が止まらないこともあってこのままだと本当に死ぬなと思っていましたね。

なぜ、そのような状態になったかというと、当時普及しはじめた会計ソフトを使って記帳や確定申告を支援するサービスを展開していたんですね。個人事業主向けのフック商品として価格を抑えて、ランディングページを作って。すると、問い合わせがすごくて、案件が取れすぎてしまったんです。

単価が安いサービスだったので、本来であれば顧問契約などを追加提案しようと思っていたのですが、忙しすぎて提案する時間もなく。単価が安い仕事を大量にやらなくてはならず、かなりキツかったですね。断らずに全部やってしまったのがよくないのですが……2年くらいそれが続いたのち、会計ソフトの爆発的な人気が落ち着いて、人の採用も進んで、やっと人間の暮らしを取り戻しました。

角田:すごい。嬉しい悲鳴ですが、辛そうですね。大久保さんはいかがですか?

大久保:そうですね、瞬間的なハードシングスはないんです。派手さのない話ですが、ずっと苦労しているのはやはり「人・採用」ですね。

組織を成長させていくなかで、多様な人材を採用していくということは必須です。しかし、そうすると少なからず弊社のカルチャーにフィットせずに退職する従業員も出てきます。採用段階でのスクリーニングや、入社後のフォロー、退職従業員の穴埋め、既存従業員のケアなどはもちろん、ビジョンの策定や共有、人事評価の仕組みの明確化や柔軟かつ適切な運用など、組織を維持・成長させていくための課題がそのまま経営課題になっているイメージです。

「監査法人のブランドを使え」独立前に準備しておくべきこと

角田:独立前に何を準備しておくといいでしょうか?

林:やはり人脈作りですね。クライアントや社内のメンバーに気を配り、関係を築くために積極的に行動すべきだと思いますね。

特に会計事務所やスタートアップなどは、横のつながりがとにかく強い業界。誰か一人とつながっておけば、そこから紹介され広がっていくことが多いので、独立を考えている人は本当に人を大切にしたほうがいい。

私も独立する前から、意識して人には会うようにしていました。今は時代的に難しくなりましたが、クライアントや社内メンバーと頻繁に飲みに行っていましたね。また共通の話題を探しておくといった準備もしていました。いざ飲みはじめると準備したことは忘れて、楽しんでいるだけなんですけど(笑)

ただ、こういう気軽なコミュニケーションが独立後は難しくなるんですよ。独立してから会いにいったり、飲みに誘ったりすると「営業なんじゃないか」「引き抜きかな」と考える人も多いでしょうし。

なので、監査法人にいる人などは、独立前に監査法人のブランドを惜しげなく使っていろんな人に会いに行くのをオススメします。スタートアップやベンチャー企業が主催するイベントや勉強会に参加するのもいいでしょう。

大久保:独立前に、独立後に自分が実施する業務内容と近い経験を積むことが有益だと思います。具体的には監査法人から直接独立するのではなく、一般的な税務実務に加え、自分のやりたいことや、わかりやすい差別化につながる業務領域が学べる会計事務所や税理士法人、コンサルティング会社に行くことが早道です。

監査法人と個人でやる会計事務所はビジネスモデルがまったく異なるので、既存の企業で学んだほうが効率いいかなと。そこで所長の視点を持って業務することが重要です。会計システムの操作方法や税務申告書の作成方法などの新しい実務を学ぶのはもちろん重要ですが、できればクライアントの獲得方法や人の採用やアサインなど事務所運営に必要な面についても注意して学んでみてください。その辺は見ているのと実際に自分がやるのでは大きな差があるので、マーケティング担当や採用担当などを率先してやってみるのもいいかもしれません。

経験を積むための「転職先」の選び方

角田:参加者の方からの質問にお答えしていただければと思います。「お二人が今考えている将来のキャリアプランがあればお伺いしたいです」という質問が寄せられているのですが、いかがでしょうか?

大久保:弊社はいま、日本のほかに香港、シンガポール、タイ、ベトナムに拠点があるのですが、各拠点の人員を増やして組織を安定化させたいですね。

特に、いま20名〜25名の東京時事務所のメンバーを早く50〜100名に拡大していきたい。繁忙期で業務が増えたり人が辞めてしまったりした際にも余裕を持って対応できるような組織にしていきたいです。

林:僕は、単純に会計事務所として馬鹿でかくしたいと考えています。弊社が主に行っている「税務顧問」という業務、特に中小企業向けの税務顧問はやり方次第で理財も取れるし、人を育てられると分かったんですね。

また、2022〜2023年にかけて電子帳簿保存やインボイス制度など新しい制度が導入される。その影響で、いまって古参の税理士さんたちが引退を考える時期なんです。なので、若い会計士にとってはチャンスでしかなくて。うちの事務所としても、東京に限らず仕事を広げていこうと思っています。

角田:ありがとうございます。最後に独立を目指す会計士の方にお二人からメッセージをお願いします。

大久保:先述しましたが、会計士の独立においては独立前から準備が可能です。会計士の方がキャリアを考えるなかで、独立会計士である私や林さんが相談にのれることもあるかと思います。「独立会計士がどんな感じで働いているんだろう!」など気になる方は、ぜひ気軽に事務所に遊びに来てみてください。その結果、弊社に参加いただけたらありがたいですが、もちろんお話だけでも大丈夫です。

林:僕の言いたいことは今全部大久保さんが言ってくださいました(笑)。ぜひ気軽に声をかけてください。

独立前に会計事務所に転職することをオススメしたので、最後にどんな会計事務所がいいのか、そのただ一つの条件をお伝えします。それは、代表が会計士のところ。会計士がやっている事務所とそうでないところでは学べることも収入も大きく変わるので、ぜひこの点に注意して検討してみてください。

独立を検討している会計士の方はぜひRocketCPAに!

会計士コミュニティ『RocketCPA』では、このようなセミナーやイベントを随時開催しています。大久保さんや林さんのような独立会計士の方からCFOとして活動されている方、投資銀行に入社された方など多様な会計士のキャリア像を詳細にお伝えします。第一線で活躍する方の話を聞き、質問できる機会です。また、コミュニティ内では、過去のセミナーやイベントのアーカイブ動画も閲覧でき、学習コンテンツも豊富にご準備しています。

今回のセミナーでお話にあがった人脈を作れる場でもあるので、独立を検討している会計士の方はぜひご参加ください。

RocetCPAの公式サイト/コミュニティ参加はこちらから

また、RocetCPAを運営するSEVENRICH GROUPでは、会計士の転職支援も行っています。SEVENRICH GROUP自体も会計事務所を母体としているため、会計士のキャリアに深い知見を持っています。転職希望者の方のやりたいことや将来像にあった求人を、市場未公開のものも含めてご紹介しますので、独立や転職を考えている方は、ぜひ一度お話しましょう。