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「ブランド=資産」。しるしが創るブランド体験とそれを支える組織の秘密

ブランド・ブランディング――。今では当たり前になったこれらの言葉が使われるようになったのは、今から約30年前と言われています。経営戦略・マーケティングに関する書籍やセミナーの中でも当たり前に登場するようになり、ビジネスマンであれば耳にしない日の方が少ない言葉になりつつある一方で、「ブランド」たるものが何なのか、正しく理解できている人は少ないのではないでしょうか。

今回は、「ブランド体験の最適化」をミッションとし、企業のブランドの成長を支援する、しるし株式会社の代表・長井秀興さんと角田の対談を実施。しるしが考える「ブランド」とは?それを形作るしるしのカルチャーとは?を聞きました。


“ブランド体験の最適化”がしるしのミッション

角田:改めて、読者の皆さんに向けてしるしさん(以下、敬称略)の事業概要を教えてください。

長井:しるしは「ブランド体験を最適化する」というミッションのもと、ECモール、特にAmazon、楽天に特化した支援事業を展開しています。

弊社の一番の強みはブランドを中心に考え、ブランドの体験を設計していること。広告運用やクリエイティブ制作という作業代行に留まらず、ブランド体験を俯瞰し、ユーザーがどういう認知〜購買導線を辿るのか、購入後にどんな感情になるのかまで考えながらご提案を行っています。

また、弊社では売上を伸ばすことだけを考えているわけではなく、PLベースで事業全体をご支援しています。強い訴求をして数字を作るスタンスではなく、オフラインや他のオンライン販路を踏まえて、ブランドとして適切なコミュニケーションのもとに購買意欲を抱いてもらい、数字につながるようアプローチを行っています。

角田:普段いちユーザーとして接しているD2CなどのLPを思い出してみると、物を“買わせようとするスタンス”を感じざるを得ないものもあります。そんな中でしるしでは、ブランドの価値を毀損せず、むしろ向上させながら購買につなげていっているんですよね。

長井:おっしゃる通りです。強い訴求をして期待を煽ると、仮に使った後の満足感が期待に届かなかった場合にユーザーは強い不満を抱き、リピート購入しないばかりか、ECサイトに悪いレビューを投稿してしまうこともあります。

ブランドは資産を積み上げていく行為。しるしでは、ブランド毀損につながりかねないアプローチは用いないようにしています。

角田:ECモールの支援といっても、各モールで仕様が決まっている以上、やれることは少ないのではとも思ってしまいます。しるしでは具体的にどんなことをご支援しているのでしょうか。

長井:一口に「ECモール」と言っても、ブランドによってとる戦略は異なりますし、モールごと、売りたい商品ごとに特性があるので、実はやれることはたくさんあるんです。

検索流入への対策ひとつとってもパターンがあります。ひとつは指名検索と呼ばれるもので「メーカー名 商品名」のように、すでに欲しいブランドや特定の商品があるパターン。この場合は、検索するとすぐにお目当ての商品がヒットし、クリックして購買に至ります。もうひとつは、一般キーワード検索と呼ばれるブランドにはこだわらないパターンです。「水 500ml」のようにキーワードで検索し、出てきたものの中から、料金・配達日数などを考えて購入に至ります。

どちらの戦略を取るのかでやるべきことは異なってきますし、どれだけの期間でどれだけ投資をし、どれくらいの売りを作りたいのかによっても運用の仕方はまったく異なります。しるしでは、何をビジネスのゴールにしていて、ECモールに対してどんなことを期待し、どこに課題を感じているのかをヒアリングしながら、前提を設計していきます。

しるしの“ブランド体験”を形作るもの

角田:他社のブランド体験の最適化を支援しているしるしですが、自社のブランド価値の向上、ブランド体験の改善に対してはどのような取り組みをしているのでしょうか。

長井:「ブランドエクイティ」という言葉が示すように、ブランドは資産です。一日で作れるものではなく、長い年月をかけて積み上げていくものです。

それに加えてよくする話は「ブランド体験=タッチポイントの集合体」であるということ。たとえばテレビCM、広告、口コミなど、今の世の中には製品やサービスのタッチポイントになる媒体がさまざま存在しています。さらに、店頭のテスターを手に取る瞬間、購入する瞬間、持ち帰って自宅で使う瞬間…すべてが消費者との接点になります。

ブランドは、それらの集合体。それぞれの接点できちんと信用を積み重ね、期待を上回るようなパフォーマンスを上げることが結果的に良い体験につながり、ブランドの価値・資産につながってくると考えています。

角田:なるほど。BOXの主力サービスは人材紹介で、サービス単体で見たときに他社との差別化が難しいため、サービスを通しての体験全体をブランドにつなげたい、と常々考えています。

接点全体が体験=ブランドになっていく、というお話は非常に納得感がありますし、候補者や企業さんとのコミュニケーション一つひとつがブランドにつながっていくという意識を持たなければならないと改めて感じます。

長井:おっしゃる通りですね。マーケティング業界には、FMOTという用語があります。First Moment Of Truth(最初の真実の瞬間)のことで、消費者が購買行動を決める瞬間を指します。そこから派生し、ZMOT(Zero Moment  Of Truth)、SMOT(Second Moment Of Truth)という言葉が生まれたわけですが、これこそが「すべての瞬間が信頼につながっていく」ことの表れです。

弊社のミッション、「ブランド体験を最適化する」を果たすうえでは、その考え方を社内に浸透させ、角田さんの言うように、お客さんとの接点一瞬一瞬を信頼につなげていく必要があると思っています。

顧客満足度だけでなく、自社の従業員満足度にもこだわる理由

角田:しるしは、事業・組織規模ともに急成長を遂げています。人数が増えると、経営者の価値観を直接伝えることが難しくなる側面もあると思うのですが、カルチャーの醸成において大切にしていることはありますか?

長井:さまざまありますが、サービスプロフィットチェーンを重要視していることは弊社の特徴と言えそうです。サービスプロフィットチェーンとは、企業が従業員の満足度を向上させることでサービスやプロダクトの質が向上し、顧客の満足度も向上。ロイヤリティが向上することによって企業の業績が良くなり、企業がさらに生産性向上や人材に投資でき、従業員の満足度が向上する…という循環を示したモデルです。

長井:サービス品質を上げよう、売上を上げようと伝えると、メンバーに「なぜ会社だけが美味しい思いをするの?」と思われてしまうかもしれません。逆に、社員を大切にするばかりでは「お客さんを見なくてよいの?」と議論になってしまう。誰かひとりが良い思いをするのではなく、サービスプロフィットチェーンを大切にして良い循環を作ろう、という話にはメンバーも納得してくれていますね。

角田:良い循環を作るために従業員満足度の向上が重要だと理解はしていても、ベンチャー・スタートアップにとってそこに投資していくことは勇気のいる意思決定でもありますよね。しるしでは具体的にどのような取り組みをされていますか?

長井:複数ありますが、まず紹介したいのは月1の頻度で行っている社内勉強会です。外部の講師をお呼びして、ブランドやマーケティングについての座学を行っています。過去には、Anker社の猿渡さん、国内最大手化粧品メーカーの執行役員、明治大学の教授などをお呼びして、最先端のマーケティングやブランド論について考察し、学んできました。

また、ブランドは消費者とのコミュニケーションだけでできているわけではなく、生産管理、製品開発などサプライチェーン全体を通じて作っていくものなので、それらに関する勉強会も開催しています。

角田:このフェーズから勉強会や研修に投資をしているのはすごいですね。

長井:もちろん、ミッションを果たすために学びが不可欠という考えもあるのですが、純粋に僕自身がすごくマーケティングやブランディングに関する学びに面白味を感じていて(笑)。経営陣がブランドの価値や効果を心底信じているから、自然とこういうアクションにつながっているのかもしれません。もちろん僕だけではなく、しるしで働くみんなが“ブランド”が好きなんです。まれに候補者さんに「しるしの誇れるものはなんですか?」と聞かれることがあって、そのときは「みんなブランドが好きなことです」とお伝えしているくらいです。

角田:ブランドが好き?

長井:しるしに所属するすべてのメンバーが、ブランドをどう伸ばすか、魅力をどう伝えるかを常に考えながら仕事をしています。クライアントさんの商品を実際に使って、良さを社内で共有するという動きも活発です。会社としても、「ブランド体験サポート」という福利厚生を用意し、さまざまなブランド体験の機会を提供しています。

大学生向けのインターンでは、ブランドについて考えるきっかけを作りたいという意図で、ワークショップを行っています。そこで「ブランドって面白い!」「すごい!」と感じてくれた人がしるしを選んでくれるから、自然とブランド好きな組織になっているのかもしれません。

才能が花開くためには、土壌が必要

角田:しるしでは、大学生インターンが正社員になり、翌年に大学に在籍しながら事業責任者になった事例もありますよね。

長井:伊藤ですね。インターンとして参画し、3年次には休学して正社員としてフルコミット。今は大学生をしながら事業責任者として活躍しています。優秀で成長欲求が高く、本人の希望があれば、学生であっても正社員になってもらっています。

角田:夢がありますよね。一時的なお小遣い稼ぎではなく、自分の能力とともに役職や収入も上がっていく。そういうキャリアの事例が、急成長中のしるしのようなスタートアップから出てくるのは非常に面白いですよね。やはりしるしにフィットするのは、1~2ヶ月で必要な情報やスキルの土台を獲得して立ち上がっていけるような人ですか?

長井:そうですね。その素養があれば、しるしではすぐに活躍してもらえるんじゃないでしょうか。ただ、意外と“オタク気質”が重要だったりもするんですよ。実際今の社内のメンバーも、勢いに溢れている人が多いというよりは、まじめで実直な人が多いです。

納得いくまでとことん自分で調べたり、自分で決めたことにコミットしたり。「知らないと気持ち悪い」「自分で理解できないといやだ」、そんな人の方が実は合うのではないかと思っています。

角田:たしかに、ちょっとしたズレが気持ち悪い、わからないことをわからないままにしておけない、というのはとても大切な能力ですね。最後に、転職を検討している方に伝えたいことはありますか。

長井:その人が持っているポテンシャルや才能が花開くかどうかは、環境が左右すると思っています。「ここまでしか頑張れない」と思っている人が、成長環境に飛び込めばもっと頑張れるなんてこともあるんですよね。

僕は今代表として環境を作り出す側でもありますし、逆に僕自身もこの環境だから頑張れている面もあるんですよね。だから、成長環境で自分を高めたい、自分の価値を発揮したいと考えている方には、しるしがぴったりだと思っています。

成長やチャレンジを前向きに楽しめる方と、ぜひ一緒に働いてみたいです。お待ちしております。

BOXは、あなたの人生を見据えた転職支援を行います

BOXでは、しるしへの転職相談を受け付けています。しるしの文化や制度、働き方など、長く続く関係のなかで得たネットでは得られないリアルな情報をお伝えします。もちろんご相談に乗るなかで、ほかの企業をご紹介することも可能です。多様なバックグラウンドを持つメンバーが、責任を持って全力で支援します。転職を検討している求職者の方は、ぜひご連絡ください。


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