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【開催レポ】つくば市産業振興センター「つくばスタートアップパーク」主催のイベントにHRE事業部・花岡が登壇しました

2024年10月23日、BOX HR Enablement事業部の花岡 伸太朗が、「STAPA Knowledge Day—アーリーフェーズの採用戦略—」に登壇しました。

STAPA Knowledge Dayは、つくば市が運営するインキュベーション施設「つくばスタートアップ」が主催する、イノベーションを起こそうとするスタートアップやベンチャー企業の関係者へ向けたイベントです。

本イベントで花岡は、「アーリーフェーズの採用手引き」と題し、SaaS企業の人事や採用コンサルタントの経験から得た知見をご紹介。

さらに、SEVENRICH GROUP COOの浦田 友恭さん、マカイラ株式会社 代表取締役COOの高橋 朗さん、つくばスタートアップパーク コミュニティマネージャーの堀下 恭平さん、数々のスタートアップの成長に関わってきた御三方とともにトークセッションも実施しました。

今回のnoteでは、その様子をダイジェストでお届けします。


次から次へと課題が現れる、アーリーフェーズのスタートアップ経営

まずは、マカイラ株式会社の高橋さんが自社の事業紹介と「アーリーステージにおける経営課題と対処法」をご紹介します。

これまでに高橋さんは、医療×ITのスタートアップ企業で従業員数名の時代からIPOまでを経験し、マカイラでは市場戦略・非市場戦略双方の観点から企業に対してコンサルティングを実施してきました。

「少し乱暴な言い方かもしれませんが、スタートアップ経営とは、資金調達、人材獲得、顧客獲得——すなわちプロダクト開発からPMFの実現へというサイクルをひたすら回していくことです。その過程でさまざまな問題が現れてきます」

資本政策の検討、デッド・エクイティの調達実務、参入する市場の調査、必要があれば政府への働きかけ・ロビイング、ブランディング、採用、経理、労務、総務など、経営者に降りかかる数々の問題を列挙していきます。しかし、これらの問題を自分たちだけですべて対処する必要はないとも言います。

「重要なのは、経営チームのリソースを集中投下すべきコア課題と、外部のリソースを活用した方が良いノンコア課題を見極めることです」

本当に大事なものを見失わず、事業を成長路線に乗せるために、スタートアップのバリューアップを行っている会社の力を借りることも選択肢に入れるべき。そのために今回のイベントでBOXやSEVENRICH GROUPと、つくば市のディープテック・スタートアップの皆さんをつなぎたかった、と高橋さんからご紹介いただきました。

アーリーフェーズの採用手引き

続いてはBOXの花岡が、スタートアップの採用活動の実態と、採用実務のTipsを紹介しました。ぜひこれだけは持ち帰っていただきたい、と花岡が強調したのはこの2点です。

  • 企業フェーズや募集したいポジションに合わせて、さまざまな採用手法を活用する

  • 採用面接では、候補者を見極めるための質問ばかりでなく、自社のアトラクトも積極的に行い、「見極め」と「訴求」のバランスを考える

まずは、アーリーフェーズのスタートアップに適した採用手法について解説します。経営者の側近となるCxO候補や役員候補を採用する場合、ダイレクトリクルーティング(スカウト活動)やリファラル採用などによって、なかなか転職市場に現れにくい人にアプローチする採用手法が一般的です。

それから、ある程度の資金調達を行いメンバーが増えてきたレイターフェーズには、ターゲットを拡大する採用手法にシフトしていきます。求人広告やエージェントを活用して母集団を形成し、メンバー層になる人を採用する。

とはいえ事業規模拡大のためには、組織を束ねられるハイレイヤー人材の採用も引き続き積極的に行う必要があります。そのため組織拡大を望むなら、採用したいポジションに対して適切なターゲット選定と、ターゲットに合わせた採用手法を使い分けることが大切であると解説しました。

また採用実務のTipsとして、アーリー期のスタートアップによく伝えていることを紹介します。それは、採用面接で「見極め」と「訴求」のバランスを調整すること。

いざ候補者に向き合うと慎重に見極めようとしすぎてしまい、即戦力になるかどうか、スキルチェックに時間をかける方が多くいます。しかし優秀な候補者であれば当然他社からも内定が出ているため、アトラクトが不十分であれば内定を辞退されてしまいます。

創業経緯、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)に込めた思い、募集しているポジションの魅力など、企業のことを候補者に知ってもらう心づもりで面接に臨むことで、より良い採用活動になるとお伝えしました。

質疑応答&トークセッション

イベント終盤には、参加者の皆さんから質問をいただきつつ、それをテーマにして登壇者の皆さんとトークセッションをしていきました。

Q. 「見極め」と「訴求」のバランスは?

——参加者の方から「カジュアル面談が訴求の場、一次面接以降が見極めの場と、ステップを分けている企業もあると思います。一次や二次ではどの程度訴求ポイントをいれるべきでしょうか?」という質問が来ています。

花岡:採用担当者には「候補者の回答に呼応してください」とよくお伝えしています。

たとえば候補者に営業活動中に意識していることを聞き、まずはその回答に対して共感を示す。それから自社の場合はどのように顧客と向き合っているのか、エピソードや事例を紹介して、訴求へつなげるのをおすすめしています。

高橋:面接で候補者に呼応して、自然に訴求へつなげるのは確かに大事ですよね。BOXさんはどの段階の面接で何を訴求するか、誰に訴求させるかなど、面接のプロセス設計も支援されているのでしょうか。

花岡:ご支援する企業さんもあります。多くの場合、面接は人事の方と、候補者にとっての上長となりうる事業部の方が主に担当すると思います。

人事の方には企業のカルチャーとマッチするかという観点で見極めと訴求をしていただく。事業部の方にはスキルを見極めつつ、募集ポジションの訴求もしていただくことが多いと思っています。

Q. 「俺のやり方」を貫く経営層を説得する方法は?

高橋:スタートアップの中には、採用担当者が起点となって採用プロセスを改善したいと思っていても、経営者が「俺のやり方で良いんだ」と自身のやり方を曲げようとせず、説得するのに苦労する人もいると思います。トップを説得するお手伝いをする際に気をつけていることはありますか?

花岡:最初から経営者の方のやり方を否定することはしませんが、きちんと現在の市況をお伝えし、期待値のすり合わせを丁寧に行っていきます。転職市場に滅多に現れない条件の人をターゲットにされる方も多いため、採用難易度の高さを伝え、ターゲットの要件に対して適切なフィードバックを行うこともあります。

浦田:僕からも回答すると、基本的には数字やロジックで経営者の方に納得してもらうしかないと思っています。たとえば、自主応募かスカウトか、流入経路によって面接フローを変えてみると数字に現れることがあります。面接の時間の使い方をロジカルに変えていくと、やはり数字に反映されやすいので、実験的にやっていった結果をもって説得するしかないと思います。

Q. リファラル採用で気をつけることは?

——さらに参加者の方から質問が届いています。「リファラル採用をする際に気をつけるポイントはありますか?たとえばCOOから紹介された人を人事やCEOが見極めようとすると、紹介してくれた人の顔を立てたいという気持ちが出てくると思います」。なかなか悩ましいです。

花岡:大前提として、◯◯さんの紹介なら無条件で内定を出してしまおう、というのは一番良くないです。自社の採用基準をクリアしていないのであれば、人事がNOを出さなければなりません。

浦田:そもそもリファラル採用を始める前に、人事が全員と徹底的に求人要件をすり合わせる必要があります。経営者も事業部のメンバーも巻き込んで、風通し良く打ち合わせできる状態を作っておくのが重要です。

Q. 面接業務を属人化しない方法は?

——込み入ったお悩みもいただきました。「採用面接は、営業ほどロープレ同席、録画、分析などがされにくいと思います。仕組みを作ったとしても、上が意図した面接が実行されているかは判別しづらいです。カルチャーの細かいニュアンスの伝え方やスキルの聞き出し方など、属人性を最小化するためにどうされていますか?」

花岡:確かに、採用面接は個人情報を取り扱うのでブラックボックス化しやすいですよね。とはいえ、ブラックボックスのままではいけないので、必須スキルや、候補者にそこまで求めなくて良いスキルなどを、きちんと明文化しておくことが大切です。

あるいはスコアリングをして、その点数をつけた背景も可視化し、合否を決定する。誰が見ても分かるような採用基準を設けることが大事だと考えています。

浦田:補足すると、弊社では候補者に採用面接の録画を許諾をいただいた上で、社内で共有することもあります。若手メンバーに同席してもらう場合も、きちんと許可を取ってから2対1で面接をします。

またアーリー期であれば、面接業務は面接官の得意・不得意に応じて役割分担しても良いのでは?というのが率直な意見です。業務を標準化させようとしても、アトラクトがうまい人、スキルチェックが的確な人に分かれてしまうものなんです。アーリー期であれば、それぞれが得意なポジションで活躍してもらう方が効率的ではないでしょうか。

——ちょうどアンサーが来ていますね。「やはり営業活動と同様に、採用活動も検証すべきなんですね。ありがとうございます」

最後に、登壇者からスタートアップ関係者へ向けてひとことずつメッセージがあり、本イベントは終了しました。

高橋:私も含め、中小企業やスタートアップの経営者というのは常に悩みを抱えています。経験が少ない領域の課題に立ち向かおうとしても、なかなか埒が明かないので、プロの方に悩みを共有するのが最適です。

基本的には、すぐに法外なコストが発生することはありませんし、話してみると意外に解決の糸口が見えてきます。マカイラ、BOXさん、SEVENRICH GROUPさんが支援できることがあると思うので、ぜひ相談してみてください。

浦田:SEVENRICH GROUPは自社で30以上の事業を展開し、今まさに0から立ち上げている事業もあります。これまでに採用についてはいろんな失敗や成功体験をしてきましたので、その経験の数でアドバイスできることもあるかと思います。気軽に相談していただければ幸いです。

花岡:BOXでは、採用戦略設計、採用母集団形成、各エージェントとの関係構築など、さまざまな切り口でスタートアップを支援しています。具体的な支援内容は、皆さんの課題に合わせて設定できますので、ご相談の機会をいただけたら嬉しいです。