転職を考えたときのおすすめステップ by こばかな
※本記事は、(株)THE COACH Founder / CEOこばかなさんによる寄稿記事です。
こんにちは、こばかなです。2019年からプロコーチとして活動し、同年にTHE COACHというコーチング企業を立ち上げ、今は代表をしています。
数か月前にXでキャリアに関するお悩みを募集してみたのですが、想像以上にたくさんの方が相談を持ち掛けてくれました。
多種多様な相談をいただきましたが、なかでも多かったのが、「自分が何をしたいのかわからない」「今のしごとにモヤモヤしているけれど、何をしていいかわからない」というものでした。
そこで今回は「転職したいとぼんやり思っているが、具体的な行動に移せていない」という人向けに、転職を考えたときのおすすめステップを紹介します。
今の状況に点数をつけてみる
結論からお伝えすると、転職をしたいとぼんやり思っているのに行動に移せないのは、今の状況を解像度高く理解できていないから、ということに尽きると思います。そこでおすすめなのが、今の会社や状況に点数をつけてみることです。
たとえば
仕事内容
人間関係
給与
カルチャー
将来性
の各項目を5点満点として、合計25点満点で点数をつけてみてください。
「仕事内容は大好きだから5だな」「同僚は良い人だけど、上司と馬が合わないから人間関係は3かもな」と、理由も合わせて点数をつけることができるのではないでしょうか。
仕事内容 ___点
人間関係 ___点
給与 ___点
カルチャー___点
将来性 ___点
では次に、「なんとなくいいな」「ここが気になるな」と思っている会社についても、同じように点数をつけてみてください。CMで見たことがあって気になっているとか、友人が働いているから興味がある、くらいの会社でも大丈夫です。
どうでしょうか?多くの人が手を止めてしまったのではないかと思います。なぜなら、ほとんどの場合、点数をつけられるほど他社のことを知らないからです。
たとえば、現職の総合点が15点だったとします。気になっているA社が15点よりも低ければ転職先の選択肢としては外れるはずですし、15点より明らかに高ければすぐに選考に進むのではないでしょうか。
実際にその行動に移せないのは、自分のなかに「ハテナ」が多すぎて、点数づけに至っていない、つまり「判断できる段階になっていない」からなのです。
「ハテナ」の解像度を上げるためには、人に話を聞くのが有効
繰り返しになりますが、「ぼんやり迷っている状態」というのは、自分の中に情報が不足していて、ハテナが多すぎるから。それを解決するためには「情報収集をして、ハテナに対する解像度を上げていきましょう」というのが、わたしからのアドバイスです。
とはいえ、すべての会社が採用に関する情報を公開しているわけではありませんし、自力での情報収集には限界があると思います。
だから、「人と話して情報を得る」というのが、解像度を上げるための近道です。いきなりその会社の人事と話すと選考が始まっているような気持ちになってしまうと思うので、まずはその会社のことを知っているけれど、中の人ではない……くらいの距離感の人を探すのがおすすめです。
たとえば
その職場で働いているが、行きたい部署の人ではない相手
以前その職場で働いていた知人
転職エージェント などです。
わたし自身も何度か転職をしてきていますが、気になっている会社に以前勤めていた友人や、その会社の情報を知っているエージェントに話を聞いていました。特に転職エージェントは、自分だけでは決してたどり着けない情報をくれますし、その会社以外の思わぬ場所の情報交換をできたりもするので、いい体験になるのではないでしょうか。
コーチの力を借りて、自分の価値観を深堀してみる
他の会社についての解像度が上がってきたら、改めてさきほどの点数表に得点を記入してみてください。
現職より明らかに総合点が低ければ、その会社は選択肢にいれなくてOKです。明らかに高ければ、迷わず選考に進みましょう。
悩みどころになるのは「総合点がほぼ同じで、強みが違っている会社」なのではないでしょうか。
たとえば、総合点は同じだけれど、「年収」の項目が現職は5、次の仕事は3だったとします。そのとき「年収が下がるから転職はしない」と安直に決めてしまうのではなく、なぜ年収を維持したいのか、に向き合ってみてください。
突き詰めて考えていくと
子どもがいるから、年収はできるかぎり下げたくない
そんなにお金を使わない生活をしているので、下がっても自分の幸福度には影響しないかもしれない
今の年収でギリギリの生活をしているので、もっと自己投資するために年収を100万円上げたい
のように、「自分がどういう生活をしていたいか」「何年後にどうありたいか」「そのために今いくら必要なのか」といった価値観が浮き彫りになってくるはずです。
このとき、セルフコーチングのような形で「なぜ?」と自分の価値観と向き合える人なら良いのですが、ひとりで向き合うのが難しい場合は、キャリアエージェントに価値観を深堀してもらったり、コーチングサービスを使って自己に向き合ったりしてみるのもおすすめです。
最後は心の声に耳を澄まして“プレッシャー注文”
唐突に何の話だろう、と思われるかもしれないのですが、わたしはよく飲食店で“プレッシャー注文”をします。プレッシャー注文とは、その名の通り自分にプレッシャーをかけてオーダーを決めることです。
飲食店で定食を頼むとき、気持ちが100%「ハンバーグ定食」に傾くことは、相当ハンバーグが好きな人でない限りないと思います。から揚げ定食も、アジフライ定食も美味しそう…そんな揺れ動く気持ちのなかであえて注文ボタンを押して、店員さんが来た瞬間の心の声によって注文を決めるようにしています。
もちろん転職をするときは、できる限りの調査や対策をしておくべきだと思います。一方で、どれだけ綿密な調査をしても、入社せずにその会社のことを100%知るのは難しいですし、選択のタイミングによって気持ちは変わるもの。
だからこそ、「100%の覚悟をもつのはそもそも難しい」と割り切り、自分なりに期限を決めて“プレッシャー注文”をしてみるというのもアリだと思っています。
そのときに重要なのが、周りの声を自分の声だと勘違いしないことです。
ネームバリューがある
年収が高い
ワークライフバランスが取れている
一般的にこれらは「良い会社」を構成する要素のひとつです。でも、それが「あなたにとって良い会社」かどうかはわかりません。
実際わたしも、大手企業から小規模の会社に転職するとき、上司や家族に引き止められました。ですが、そのときのわたしにとって最良の選択をしたことが、今のわたしのキャリアにつながっています。
新しいアクションをしようとすると、あなたのことを大切に思っている人ほど、心配の気持ちから「一見正しいこと」を伝えてきます。その意見は「外の人の意見」として受け止め、まずは自分の声、ワクワクに耳を澄ましてみてください。
いろんな準備や対策をし尽くしたのなら、最後は勢いで。そんな選択があっても良いと個人的には思っています。
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日本人は、主体的にキャリアを選択するタイミングが少ないように思います。初めの機会が新卒の就活だと思うのですが、新卒は社会のことをあまり知らないタイミングでもあるので、下手で当たり前です。
でも、経験を積めば、キャリア選択もだんだん上手くなっていくものです。20代で多くの挑戦をしておくことが、30~40代の良いキャリアを作っていくと思っています。やったことのないことへのトライは、怖くて当たり前。「そういうものだ!」と思って、新しい一歩を踏み出してみてください。
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