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【開催レポ】しるし・Natee・TENTIAL・BOXの4社で「スタートアップ企業が語る マーケティング徹底講座」を実施しました

BOXは、候補者の皆さん、ご紹介先企業の皆さんがカジュアルにコミュニケーションを取れる機会を作るため、定期的にイベントを開催しています。

2023年10月17日には、しるし株式会社、株式会社TENTIAL、株式会社Natee(すべて敬称略)、株式会社BOXが「スタートアップ企業が語る マーケティング徹底講座」を共催。BOXのメンバーや3社それぞれで働く方たちに加え、スタートアップへの転職を検討する候補者の皆さんが集まりました。

マーケティング領域で活躍する方々が何を考え、何を実行に移しているのか。このnoteでは、イベントのダイジェストをお届けします。

【登壇者】

しるし株式会社 代表取締役CEO 長井秀興様
東京大学大学院卒業後、2016年に新卒でP&G Japanのマーケティング部に入社。ファブリーズのブランドマネジメント、ブランドマーケティングを経験。その後、HR系ベンチャー企業で事業責任者やヘアケアのブランドマネージャーを経て、独立 。ブランドマネージャーの経験から、ブランドが届けたい購買体験が消費者に届くよう変革する必要があると感じ、共同創業者の下田とともに起業。

株式会社Natee 取締役COO 朝戸 太將様
東京大学を卒業後、リクルートキャリアを経てNateeに創業メンバーとしてジョイン。創業期よりTikTok事業の統括を務め、広告主の認知や購買促進など多様なニーズに対してTikTokを軸としたソリューションを提供し続けてきた。2020年末には「TikTok For Business Award」でブロンズ賞を受賞するなど、Nateeの成長をけん引している。2023年2月に初の著書『TikTok活用大全』を幻冬舎より出版。

株式会社TENTIAL ウェルネス事業本部 SLEEP事業部 部長 岩松 泰平様
2015年に株式会社デジタルガレージに入社。SNS広告の運用チームを立ち上げ、20名規模の組織まで拡大。広告運用を武器に、コスメ、教育、金融、アプリなど様々な業界のクライアント様のWebマーケティング支援に従事。2021年8月に株式会社TENTIALに参画。TENTIALブランドのSLEEPカテゴリの責任者として、事業戦略の策定および商品企画~マーケティング施策全般を統括している。

株式会社BOX 代表取締役 角田光史
日本大学経済部を卒業後、2度目の転職でSEVENRICH GROUPを選択。GROUPでは営業組織の立ち上げ、PMの経験を経て、2020年スタートアップ特化の採用支援事業部/SRG転職エージェントの立ち上げを行う。また株式会社フードコーナー代表取締役としてCRAFT CURRY BROTHERSという無添加カレーブランドを開発、オンライン販売、CCB BASE代々木店・渋谷店などの店舗経営を行う。


マーケティングチームの構成や役割は?

角田:今回の対談は、参加者の皆さんから事前にいただいた質問をもとに、お話ししていきたいと思います。まずは、「マーケティングチームの構成や役割について教えてください」ということで、TENTIALの岩松さんいかがでしょうか。

岩松:TENTIALはウェルネスブランドを展開しており、お客様との接点はオンラインストアと店舗に分かれています。プロモーション活動に関しては基本的にオンラインで行なっているので、そのマーケティングチームの内訳をお話しすると、3チームに分かれています。

1つ目が新規のお客様を獲得することを目的にしているチーム。広告運用が中心にありつつも、あらゆるマーケティング施策を企画します。2つ目がCRMチーム。既存のお客様との関係を良好に保ち、売上を最大化させるために動いています。3つ目が事業企画チーム。ほかのチームとは異なり、中長期的な視点でマーケティング戦略を練ります。

長井:しるしの場合、自社のサービスを広げるためのBtoBマーケティングチームと、クライアントのEC事業を支援をするマーケティングチームがあります。自社サービスのBtoBマーケティングに関しては、今年になって力を入れ始めたばかりで、新しい組織を立ち上げたいという方にはぴったりかもしれません。

クライアントの課題発見のため、最初にしていることは?

角田:続いてのご質問は、「クライアントのマーケティング課題を発見するために、一番初めに皆さんがしていることは何ですか」。しるしさんはクライアントのEC事業を一気通貫してサポートしているということで、長井さんからお願いします。

長井:まずはリサーチでしょうか。しるしが営業をする際に気をつけているのは、最初にクライアントが実感している課題をお聞きする前に、自社で徹底的にリサーチすること。

ECサービス自体が抱えている問題だけでなく、広告やSNS、検索エンジンなど流入元にも手を広げて、ネックとなっていることは何か分析します。外部の立場から調べた課題をあえて最初にご説明し、クライアントのお話とすり合わせる。それから改めて、本格的なご提案をするようにしています。

朝戸:しるしさんと同じで、Nateeでも最初にリサーチを行います。

Nateeではショート動画を活用したプロモーション施策のサポートを行なっており、TikTokをはじめとしたSNSに動画を投稿しています。

ただNateeの場合は、実店舗で販売する商品を持つクライアントが多いため、実際の売り場に行ってリサーチすることもあります。どんな人が手に取っているのか、棚のどの位置にあるのかなどを調査し、こちらで仮説を立ててからプランニングしていきます。

岩松:お客様がどう動いているのか、事実を見るのは大事ですよね。TENTIALではユーザーインタビューにかなり力を入れており、売り手側からは見えてこない事実をきちんと追うようにしています。

スタートアップが率先して選択すべき、マーケティング戦略や手法は?

角田:続いてのご質問は「スタートアップ企業が率先して選択すべきマーケティング戦略や手法があれば教えてください」。大企業とスタートアップでは規模が違いますし、できる施策も変わってきそうですが、いかがでしょう。

朝戸:ターゲットを決めつつ、やれることを全部やる。これに尽きると思います。Nateeはナショナルクライアントさんとの仕事創出にこだわっているのですが、ショートムービー事業の立ち上げ期は信頼も実績もお金もなかったので、あらゆる手段で営業活動をしていました。

たとえば大手広告代理店さんに連日飛び込み営業をして名刺交換をしたり、社長さんへの手紙を専業主婦の母と執筆したり。予算がない中でも、できることにトライしていました。

岩松:TENTIALの場合も苦戦していた時期がありまして。選択と集中をするという意思決定によって、危機を乗り越えました。

もともと、シューズのインソールやマスク、リカバリーウェアなどを販売していたのですが、もっとも伸び代が大きかったのが「リカバリーウェア BAKUNE」という商品でした。そこに人員やプロモーション予算、開発費など、あらゆるリソースを投下したことによって、事業が軌道に乗ったんです。

角田:仮説を立てて検証して、やるところまでやりきる。勝ち筋が見つかったら、そこにリソースを集中させる。この順番が大事なんだなと、おふたりのお話から感じられましたね。

常識に囚われないマーケティング手法は?

対談の途中には、参加者の方からご質問がありました。

常識に囚われないマーケティング手法を、今までやったことがあれば教えてください。

長井:常識に囚われないというか、皆がやらなそうなことを思いついたら、とりあえずやってみるのが良いと思います。

2年前にNateeの朝戸さんと共同でプロジェクトをしたとき、クライアントに対して、当時はまだマイナーな手法だった、TikTokでのプロモーションを提案したんです。今となってはショートムービーで販促をすることは当たり前になりましたが、数年前まではSNSマーケティングと言えばInstagramやFacebookで広告を打つことでした。

前髪のアホ毛を直す商品をもっと売りたいというご依頼で、商品のターゲットは10代〜20代。その世代がショートムービーの視聴に多くの時間を割いているため、TikTokでの販売促進を提案しました。結果は大成功。店頭の在庫が一気になくなりましたし、追随するように競合商品が販売されるくらい、マーケットが大きくなりました。

当時はまだ新しかった手法を試したおかげで、このような成果が出たのだと思っています。

岩松:世の中的に流行っているから、他社が成功したから、という理由でマーケティング手法を試してみることはないですよね。その事例が自分のお客様に合っているかは分かりませんし、仮に同じ施策を導入するにしても、独自に深掘りをするのは大事にしています。

マーケティングに関して、最も難しいことは?

角田:マーケティングに関して、最も難しいことは何ですか?」。最後の質問になりますが、しるしの長井さんはいかがでしょう。

長井:お客様がほしいものは何か、仮説を立てることが一番難しいんじゃないかなと思います。

マーケットに現在進行形のingがついてマーケティングと呼ぶように、マーケットを作ることがマーケティングの本質だと僕は考えています。目の前のお客様の需要に対して、サービスやプロダクトを供給する。このマッチングの集合体がマーケットなんです。

ただ、お客様が何を必要としているのか、これって実はお客様自身に聞いても分からないことがあるんです。その場合は、自分たちでお客様がほしいものを考えなければなりません。

岩松:正解がないのはマーケティングの難しいところですよね。そこがシビれるところではありますが。

TENTIALには、SLEEP、FOOT、WORKという3つの商品カテゴリがあり、私はSLEEP事業の責任者です。正解がない中で、お客様のこと、商品のこと、プロモーションに協力してもらうインフルエンサーのこと、競合他社のことを誰よりも理解し、意思決定をしなければなりません。その意思決定は非常に難しいですが、成功した後の達成感はひとしおです。

朝戸:おっしゃる通りで、マーケティングには正解がないですよね。おそらく、好奇心を持って仕事をしなければ、仮説と検証のサイクルを回し続けられない。マーケティングにおいて大事なのは、常に好奇心を持ち続けることです。

ただ、好奇心って持とうと思っても持てないものなので、仮説を立て検証し続けられる人は、マーケターとしての適性があると思っています。

長井:マーケティングにおいて大事なことで言うと、自社のブランドでもクライアントのブランドでも、世の中に広めたいという強い気持ちを持つことが何より重要なのかなと思います。

角田:自分が関わるサービスや商品を愛せるかは、めちゃくちゃ大事ですよね。1時間お話しいただき、ありがとうございました。

対談後には懇親会を実施。経営者と直接話せる貴重な機会を、参加した皆さまも楽しんでくれたようでした。



BOXは、候補者の皆さんと、ご紹介先企業の皆さんとの新たなつながりを創出するだけでなく、転職エージェント、人材紹介、採用コンサルティング、採用代行など、さまざまなサービスを提供しています。ご興味のある方はぜひお話しさせてください。