【会社設立インタビュー】「未来の可能性を信じる」代表角田が語る、BOXの根底にある意思
スタートアップに特化した採用支援・転職支援を行う「株式会社BOX」。ベンチャー・スタートアップの成長に必要なあらゆる機能を提供するインキュベーション組織「SEVENRICH GROUP(以下、セブンリッチ)」の採用支援/人材紹介事業部だったBOXは、設立3年目を迎えた2023年4月17日(月)にグループからスピンアウトし、株式会社BOXとして新たな一歩を踏み出しました。
今回は、会社設立に際して、採用支援/人材紹介事業部としての立ち上げから、現在に至るまでBOXを牽引してきた、代表の角田にインタビュー。角田がセブンリッチに入社した経緯から採用支援事業部を立ち上げた背景、そして法人化に至った過程を聞き、BOXの根底にある意思を紐解きます。
成果が何も得られなかった1年間。それでも挑戦し続けられた理由
——まず、角田さんがセブンリッチに入社した理由を教えてください。
角田:経営者になるための経験を積むためでした。父が会社を経営していて、僕はそれを継ぐと決めています。ただ、“ 父が代表だから”息子である僕が抜擢されるようなことは絶対に嫌で。実力で代表に選ばれるようになりたいと考えてキャリアを築いてきました。新卒でスタートアップに入社して、2社目はコンサルティング事業を行う中小企業、3社目がセブンリッチです。
——3社目にセブンリッチを選んだのはなぜですか?
角田:ひとつは、スタートアップに面白みを感じたから。スタートアップと中小企業の2つのキャリアを経験して実感したのは、スタートアップは意思決定のスピードが速く、一人ひとりの裁量権も大きいということ。一メンバーでも大きな責任を抱え、経営者と近い距離で仕事できるスタートアップこそ、20代だった自分が成長するために必要な環境だなと。
セブンリッチを選んだのは、数あるスタートアップのなかでも最も成長できると感じたから。大学の友人に誘われ、事業の立ち上げメンバーとして入ったセブンリッチでしたが、最初の面接の段階からセブンリッチ代表の服部さん、副代表の福島さんから、大量なストレートフィードバックを受けたんですよね。当時、それほどまでにフィードバックを受けたことはなくて。「こんなに言ってくる他人、いるのかよ」というのが本音でしたが、同時に「ここだったら、めちゃくちゃ成長できる」と感じて、入社を決めました。
——実際、セブンリッチに入社してみて、いかがでしたか?
角田:毎日、自分の弱さにぶつかっていましたね。最初は営業代行事業を行っていましたが、PCのタイピングすら満足にできないまま転職してきたので、スプレッドシートもKPIもロジカルシンキングも知らず、数字にも弱く。課題にぶつかっては必死に調べ、行動に移し、自分が足りないスキルをひたすら量でカバーしようとしました。そうして誰よりもハードに働き続けたけれど、結果にはつながらない。まったく成功体験が得られない苦しい期間が1年半ほど続きました。
——心が折れることはなかったのですか?
角田:なかったですね。多分、中高時代の野球部で「泥臭さ」という能力だけはめちゃくちゃ鍛えられていたんです。自分にはそれしかなかったと思います。先が見えないなかでも走り続けなくてはいけない。誰よりも圧倒的な熱をもって走り続けなくてはいけない。その先に、自分が想像している以上の成長が存在することを分かっていました。
あとは、服部さんや福島さんを筆頭に、セブンリッチの人たちが見捨てないでいてくれたから。当時の僕を責めるのではなく、向き合う姿勢自体を見てくれていて、僕の未来の可能性を信じてくれていた。そのことに支えられていました。
その恩を返すという考え方ではなく、無駄にしないという思考で愚直にやっていたら、自分も気づかないうちに少しずつ成長していて、結果もついてきた。そうして入社から3年ほどたった頃、採用支援/人材紹介事業の立ち上げを任せてもらえるようになったんです。
僕たちが人材紹介業界を変えていく必要があると思った
——なぜセブンリッチで人材紹介事業を行うことになったのでしょうか?
角田:セブンリッチは創業から長らくスタートアップの会計支援を行っているのですが、より幅広く深くスタートアップを支えたいという思いをもっていました。まずは、クライアントから相談されることが多かった採用課題を支援しようと、人材紹介事業が立ち上がりました。
事業を推進するため、リサーチを進めるなかで僕が感じたのが人材紹介・転職エージェント業界の課題です。簡単にいえば、転職希望者に価値提供できるエージェントが少ないという課題。企業側に必要な人材を集めることだけを考えて、転職希望者には求人情報を渡すだけ。転職希望者の人生をより良くするには?とそこまで考えてサポートをしているエージェントなんてほとんどいないなと。
角田:自分でアクセスできる情報が少なかった昔なら求人情報を渡すだけでも価値があったと思うのですが、現在はどこにでも情報が落ちている時代。それでもまだ、業界の王者である大手エージェントには転職希望者が集まり、従来の方法でも売上が立つため、新たな価値を提供しようとするエージェントは少ないんです。その結果、転職エージェントの多くは自分たちの「介在価値」が何かを考えることもなく、慣習で仕事を進めていると感じました。
だから、新規で参入する僕たちが挑戦者として、人材紹介業界を変えていく必要がある。転職という人生の大きな転機で、挑戦しようとする人に伴走する価値ある転機エージェントを作る。そう思い、人材紹介事業を推進していきました。
——事業の立ち上げは最初から上手くいったのですか?
角田:いいえ、初年度は惨敗。売上も赤字でした。僕たちが未熟だったことに加え、採用支援事業をはじめたのが2020年と新型コロナウイルスが流行した年で、採用活動を中止する企業が多いタイミングと重なってしまったことも大きな要因でしたね。
でも、その期間があるから、今のBOXがあると思っています。1年間苦戦するなかで、コロナ禍でも成果を出せるよう転職支援のノウハウを研究し続けました。どうすれば、面談の質を高めることができるか、マッチング精度をあげられるかなど考え続けました。そうして、今の転職希望者・企業どちらにもフェアで、マッチング精度の高い転職支援の形が出来上がってきたんです。
そうしてコロナ禍でも転職成功につながるサポート体制・ノウハウが生み出せました。コロナが落ち着いてからは成果も大きくあがり、毎年、売上は前年の倍に拡大する速度で成長できています。
BOXの強みはカルチャーにある。自由と責任を背負い、可能性を高め続ける
——採用支援事業を行ううえで意識しているポイントを教えてください。
角田:1番にあるのは「顧客ファースト」。企業に対しても、転職希望者に対しても徹底的に価値を提供しようとする姿勢は、事業立ち上げ当初から持ち続けている価値観です。「自分の家族におすすめできるサービスか?」とチーム内で問い続け、「何かもっとできることがあるんじゃないか?」をキーワードに、全員が採用支援/転職支援に向き合っています。
その顧客ファーストを実現するために意識しているのが、「準備」です。準備の大切さは、僕自身がセブンリッチで養った力で、僕からBOXのみんなに何度も伝えていることでもあります。「準備の質と量=提供できる価値」という意識をもって、小さな努力を積み重ねることは、BOXのカルチャーとしてこれからも大切にし続けます。
——BOXの前身となる採用支援事業部が立ち上がってから3年が経ち、4人からはじまったメンバーもいまでは50人に迫る勢いで拡大しています。振り返ってみて、立ち上げ当初から、メンバーの雰囲気やカルチャーに変化はありましたか?
角田:組織としては大きく成長していますが、メンバーがもつ価値観やチームのカルチャーは変わっていません。反対に、事業部を立ち上げた頃からあった「ハングリー精神」は組織が拡大するにつれ強くなっているように感じています。それに伴い、先に述べた「顧客ファースト」への熱意、それを達成するための「準備」の質も年々高まっているなと。人材業界未経験で入社するメンバーも多いですが、チームのもつ価値提供の基準が高いことで、多くのメンバーがBOXで大きく成長しています。
僕は、個人的にルールを作るのが嫌いなので、BOXを運営するうえでもあまりルールは作らず、業務の多くをメンバーの裁量に任せる形で進めてきました。その一方で、カルチャーの醸成には力を入れてきました。
ルールとカルチャーはどちらも「人の行動に影響を与え、組織に一体感を醸成する」ものですが、相対するものでもあって。ルールはメンバーがもつ選択肢を制限することで管理者が組織を統率しやすくなる代わりに、個人のクリエイティビティを抑圧し、可能性を小さくしてしまう側面があります。一方で、カルチャーはメンバーを縛るのではなく、むしろ自由に意思や能力を発揮してもらいつつ、根底に共通した価値観をもつことで組織に一体感を与えるものだと考えているんです。
角田:だから、僕はルールを作らない代わりに、大事にしてほしい価値観や想いは言葉にして何万回でも伝えています。本当に口酸っぱく同じ内容を様々な角度から、様々な表現で。その言葉はたとえば、「顧客ファーストであり続けること」「準備の大切さ」、そして「あなたの可能性を信じていること」。事業立ち上げから何度も伝え続けてきたので、数年前からは僕から言わずともメンバー同士の会話のなかで、そういった言葉が交わされるようになってきました。
——ほかに、カルチャーの醸成やメンバーとのコミュニケーションで意識していることはありますか?
角田:メンバーとの1on1は必ず対面で行う、会社の飲み会は僕が幹事として企画から予約まで行うことなどでしょうか。立ち上げから3年半1on1を対面以外で実施したことはありません。
1on1を対面で行うのは、コミュニケーションに齟齬が起きないようにするため。人と人とのコミュニケーションって、発言だけじゃなくて、声のトーンや表情、雰囲気などから得られる情報も多いと思うんです。相手の感情が五感を通して伝わるから、苦悩や不調に気づけたり、想いや意思を感じられたりする。メンバーと本音で話すには、オンラインは難しいと思うから、どんなに忙しくても1on1は対面で実施するようにしています。
——飲み会の幹事も、角田さんが行われるんですね。
角田:そうですねつい最近まで。飲み会といったチームで交流する機会って、メンバー同士が信頼関係を築くために重要だと考えているんです。お酒や食事を通して、仕事の外でメンバーの人柄を知ること。それが、チーム全体の働きやすさや心理的安全性につながるんだろうと。ただ、その中心となる「幹事」という役割は想像以上に重要な役割となると考えています。MTGでファシリテーター次第で質に差が生じることと同じだと思います。
せっかく飲み会をやるなら、みんなにとって良い体験にしたいじゃないですか。だから、お店選びにもこだわりたいんですよね。美味しい料理やお酒を楽しめる、コミュニケーションが取りにくい席がない、お店の方の接客が素敵といったいろんな要素を調べて、お店を選ぶようにしています。
角田:カルチャーは一人で作るものではないので、僕はみんなが想いや気持ちを発信できる環境を整えることで、「BOX」というカルチャーを作っていけたらと考えているんです。だから、メンバーのみんなが、いろんな企画や制度を考えてBOXのカルチャーを作り上げるのを楽しんでくれているのは本当に嬉しいことですね。
いまのBOXは、組織としてかなり良い状態だと自負しています。成長したい人、自分の人生はこんなものじゃないと思っている人はみんな来てほしいと言えるくらい。自由と責任を背負える環境と、同じ志をもって支えあえるメンバーが集まっています。
BOXが今後目指すもの
——今回、セブンリッチからのスピンアウトを決めた背景を教えてください。
角田:セブンリッチの採用支援事業部として3年間やってきて、組織や事業は大きく拡大しました。ずっと行ってきた転職支援/人材紹介は、サービス品質を評価いただき、紹介や口コミを通して広がり、200社以上の企業、1万人近くの転職希望者をご支援してきました。BOXを利用して転職した方が、今度は「妹の転職を手伝ってほしい」とご家族を紹介してくださるなど、初期から目指していた「自分の家族におすすめできるサービス」に近づいているなと感じています。
そんななか、何度も「どうすればBOXはもっと成長できるか」「社会に提供できる価値を増やせるか」、そして「どうすればBOXに入社したメンバーが幸せになれるか、BOXに入ってよかったと思ってもらえるか」を考え、服部さん福島さんと相談してきました。
そこで必要な要素として考えついたのが「健全なプレッシャー」。メンバーが自発的により頑張ろうと思える、心理的安全性がありながらも緊張感のある環境を用意することが重要だなと。
角田:セブンリッチからスピンアウトすれば、BOXは法人として社会とより密接に関わることになる。そのときに感じる緊張感はこれまでよりも大きく、株式会社の代表として行う意思決定や行動の責任はずっと深くなる。20代〜30代でその緊張感や責任を経験することは、必ずメンバーの成長や幸せにつながる。そして、メンバーの成長と幸せは、企業や転職希望者の方など社会にも良い影響を与えるだろうなと思い至り、スピンアウトを決定しました。
——最後に今後BOXが目指していくことを教えてください。
角田:独立したからといって僕たちがやるべきことは変わりません。「顧客ファースト」で自分たちが提供できる価値を提供し尽くす。人材紹介/採用支援という枠組みにとらわれないで、目の前の人が必要としていることに対して「何かできないか」と考え尽くす。そのために、BOXが提供するサービスの品質を高め、幅を広げることは今後も続けていきます。「BOXに出会えて良かったです」という転職エージェントであり続けたいし、「BOXがいたからIPOできました」と言われるほどスタートアップに貢献したい。「HR機能は全部BOXに任せれば大丈夫だよね」と言われる未来を目指します。
具体的な目標としては、3年以内に600%の成長。これまでの成長スピードを落とさず、より加速して強く大きな組織になっていきます。
株式会社BOXのVISIONは「すべての挑戦者が、意思と覚悟で可能性を広げ続ける世界を作る」。セブンリッチが、何もできなかった僕の可能性を信じ続けてくれたように、僕たちは挑戦する人の可能性を信じて広げていきたい。挑戦する人が未来を作っていける世界を実現していきたい。そのためには、まずは僕たちが誰よりもチャレンジし、HR領域における先頭集団として戦い続けます。
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